ストーリーで学ぶデジタルシフトの真髄現場と取り組むデジタル先進企業の挑戦秘話

日経BP刊
「ストーリーで学ぶデジタルシフトの真髄
現場と取り組むデジタル先進企業の挑戦秘話」

本書デジタルシフトの立役者
「藤原雄」がその裏側を明かす

藤原雄: 米国にてMBA in Information Systemを取得後、国内システム開発会社、GE コンシューマーファイナンス、ゴールドマンサックスなどで国内外の各種システム開発プロジェクトリーダー、システム責任者を務める。2012年にGE キャピタル（現三井住友ファイナンス＆リース）に転じ、クオリティ部門にて各種業務変革プロジェクトを担当。2015年よりデジタル開発チームの立ち上げ、AIやIOT、RPAを中心とする全体ITデジタルトランスフォーメンション施策の責任者として現在に至る。

国内リースのリーディングカンパニーが、完全内製によるAI・RPAの導入など、最新のデジタル技術の活用を通じた顧客サービスの向上に取り組んでいる。その過程において組織やプロセス、さらに企業風土にまで踏み込んでデジタルシフトを成し遂げた様子をストーリー仕立てで綴った書籍「ストーリーで学ぶデジタルシフトの真髄現場と取り組むデジタル先進企業の挑戦秘話」
ここでは、本書に描かれたデジタルシフトの立役者と言えるデジタル開発室の藤原雄が、その裏側にある「秘めた信念」を明かした。

“変革を是とする企業風土こそデジタル化の原動力”

SMFLには優秀なIT技術者がそろっている。ただし、テクノロジーだけでは、デジタルシフトは成し遂げられない。組織やプロセス、さらには企業風土まで踏み込んだ変革こそ、デジタルシフトをもたらす原動力となる。
「社員が皆、企業変革、業務改善を必然とする企業文化のなかで、それらの手法のトレーニングを受け、実践することが当たり前の環境がデジタルシフトの土台になりました。テクノロジーが主導するのではなく、変革が染み込んだ現場を基点にしたデジタルシフトこそ成果をもたらしてくれたのです」
日々の業務をこなすだけではなく、変革をなしえてこそ評価される社内。変革へのアプローチはもちろん、経営層も巻き込んだサポートまで確立されていたSMFLだからこそ、既存ビジネスのデジタルシフトが始動したのだ。

“デジタルシフトに経営層のコミットとサポートは欠かせない”

変革の意識やメソッドが浸透しているだけで、既存ビジネスのデジタル化は進まない。
「新しいビジネスやサービスであれば、現場からの反発もなく、デジタル化もスムーズに運ぶはずです。しかし、既存のビジネスとなると組織変更やプロセスの見直しが必要となることもあり、CEOの働きかけが力強いサポートになりました。トップがデジタルシフトを唱えるだけでなく、通常では気に留めないレベルの事象であってもサポートをしてくれることが重要です」
また、デジタルチームが活躍できるよう、デジタルの活用を経営戦略の主軸のひとつとして採用するなどの手立ても加えてもらえたという。

“日本の企業にはデジタルシフトが適した土壌がある”

グローバル企業での経験が豊富な藤原は、意外なことに日本企業こそデジタルシフトとの親和性が高いと考えている。
「デジタル化に際して、標準化という考え方は極めて重要なものです。常に組織の中でコンセンサスを得ていく日本企業は、この標準化に長けていると思います」
また、日本企業は現場のやる気を引き出して確実にやり遂げさせる力もある。シリコンバレーのベストプラクティスだけを見るのではなく、本書の手法を参考にしながら自社の強みを生かせればデジタルシフトは実現すると藤原は言う。

“新たな価値づくりへ、SMFLの歩みは止まらない”

デジタルシフトはビジネスにどんな成果をもたらしたのだろうか。
「既存のビジネスをデジタル化することでビジネスが拡大すると、今までは見えなかった新たな価値を見出すことが可能となる。そこに向かって力強く邁進することができるようになるのです」
藤原は、SMFLでのデジタルシフトの未来にさらなる期待を寄せている。
「モノの所有では日本でトップクラスのSMFLは、リースしているモノの稼働状況や位置情報などのデジタル化に取り組んでいます。言うなれば、デジタルシフトによって、モノ本来の価値以外の複数の価値が増幅され、“無機的だったモノが、有機化”されるわけです。ネットとモバイルの普及により、有機的なデータは流動性をもたせることで新たなサービスや事業を作り上げていける。これこそ我々がデジタル先進企業を目指す理由なのです」 SMFLにとってデジタルの真髄とは、新たな価値づくりに向かって歩み続けることかもしれない。