コロナ禍の医療現場を「販売金融」で支援。 日本初、感染症対策簡易CT検査室を迅速設置
新型コロナウイルス感染症による影響の長期化を受け、一般救急対応や外来診療対応による地域医療の持続が早急の課題とされていた2020年6月。高崎総合医療センター(群馬県)の屋外駐車場で、GEヘルスケア・ジャパンの感染症対策簡易CT検査室『CT in Box』が稼働を始めた。屋外に設置することが可能な簡易CT検査室の導入は日本で初めて。しかも、依頼から1カ月弱でのスピード納品だった。この導入をファイナンス面で支えたのが、SMFLのヘルスケア第三部だ。
「今、私たちは何ができるのか?」 自問自答がチャレンジのきっかけに
新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐべく、東京都を含む7都府県を対象に緊急事態宣言が発出された、2020年4月――。感染者の急増による医療崩壊が懸念される中、中国をはじめ各国では、感染症対策の一環として医療現場への感染症対策簡易CT検査室の導入が始まり、すでに100台以上が稼働していた。
この情報を入手したヘルスケア第三部の長澤良則副部長が、振り返る。
「各国で導入が進む一方、日本ではまだ導入されていない状況でした。しかし、我々なら、国内での販売・導入を機動的に支援することができるのではないかとすぐに調査を開始しました」
SMFLには、メーカーや販売会社などのサプライヤーの製品販売を金融面で支援する、販売金融サービスがある。製品を実際に使用するユーザーのニーズに合わせ、当社が支払いプランを考案し、サプライヤーとともに提案。ユーザーの製品導入を後押しして、サプライヤーの販売促進を支援している。
販売金融を行うためには、何より、その業界・製品に精通していなければならない。当社には販売金融専門チームといえるセクター部門があり、建設機械、産業工作機械、輸送機など、それぞれの分野に特化する社員がそろっている。中には20年以上も専門的に携わっている社員もいる。日々蓄積している詳細な業界情報・周辺情報を基に、時代の変化を先取りすることが可能だ。今回、GEヘルスケア・ジャパンの『CT in Box』導入をサポートしたのは、ヘルスケア関連機器を担当するヘルスケア第三部だった。
倉澤宏行部長も話す。
「CT検査は肺の軽度の炎症も診断できることから、新型コロナウイルス感染者の早期発見に役立ちます。『CT in Box』は屋外駐車場に設置できるので、一般患者と動線を分けることで、院内感染を防止し、医療関係者の方々の消毒などの手間と負担も減らすことができます」
とはいえ、高額なCT装置を新型コロナウイルス対策用に導入するのは容易なことではない。緊急対策用に一定期間のみ使用し、事態収束後はCT検査室の撤去・廃棄を含めパッケージ化したリースが向いている点からも、当社が先導して実施したい。そう担当役員に提案したところ、すぐにGoサインが出た。
日本初。各部門の専門家が結集し、異例のスピードで商品化へ
さっそく全国の医療機関に、『CT in Box』のリースを案内する準備に取り組んだ。並行して、以前からこの装置に関心を寄せられていた高崎総合医療センターとも、具体的な条件を詰めていった。
リースといってもいくつか方法がある。『CT in Box』で用意したのは、主に3つのプランだ。
- 短期リース
期間を設定し、終了後は買取りや再リースができないプラン
- 所有権移転ファイナンスリース
期間終了後に買取りいただくプラン
- オペレーティングリース
返却後の処分価格をリース料から差し引くプラン
高崎総合医療センターにはどのプランが最適なのか。電源などの付随設備はどうするのか。期間は? 決めなくてはいけないことが山のようにあった。5月中に納品し6月頭から稼働させるという強い要請があったので、ゴールデンウィーク明けまでには、書類をそろえる必要がある。諸項目を詰める時間は10日間もない。
「何パターンも試算し、寸暇を惜しんで調整を続けました」
そう長澤副部長が話す。
実はもう1つ、“適法化”という大きな壁があった。
そもそも、簡易CT検査室『CT in Box』は移動しないことを前提とする「簡易建物」に当たる。そのため、通常の医療機器であれば導入時に主に薬機法の手続きを実施すれば済むのだが、今回は宅地建物取引業法上の規制の建物か否かといった確認や手続きを行う必要があった。
「感染症対策簡易CT検査室の設置は、日本で初めての事例で、前例がなかったわけです。そのため、設置の適法性を事前にクリアしておく必要がありました」
その他にも、不動産登記法、感染症廃棄物となるかどうかの廃棄物処理法など、考慮するべき法規は山積。そこで各部門のエキスパートに応援を取り付けたのが、倉澤部長だ。
「当社にはさまざまな業界の専門家がいます。法務部はもちろんですが、例えば建設業法に強い建設機械の専門家もいるし不動産部門もある。いろいろなチームと連携し、同時並行で課題を解決していきました」
その結果、短期間で法規をクリアし、高崎総合医療センターが希望するスケジュールに沿うことができた。
「全方位的にビジネスを展開しているSMFLの強みを生かせたと思います」
倉澤部長、長澤副部長が声をそろえる。
グループ総合力で、医療現場の最前線をサポート
新型コロナウイルス感染対策の緊急包括支援事業として追加の第二次補正予算が成立した2020年6月中旬以降、高額医療機器の導入に関しては厚生労働省がリース活用を推奨していることもあり、『CT in Box』の自治体からの引き合いが増えている。ここでも「SMFLの強みが発揮できる」と、両名が話す。
「現在、自治体を中心に十数件の問い合わせをいただいています。最適なリースプランもそれぞれ異なりますが、お客さまの状況に柔軟に対応できる体制が整っています」。長澤副部長が請け合う。
「当社の親会社は三井住友フィナンシャルグループと住友商事です。三井住友フィナンシャルグループは長年培ってきた顧客基盤と信用力からお客さまのビジネスを深掘りできる。住友商事は、商流に強く、また広範な販売網をもっています。リース会社である当社はモノに強い。これらグループの力があることで、ヘルスケア分野に限らず、お客さまのニーズを細かくくみ取り、柔軟にスピーディーに、リースプランを最適な形にカスタマイズしご提供できます」
この点でSMFLの販売金融は抜きん出ていると胸を張る。
「今、多くのサプライヤーは、ユーザーのニーズの多様化への対応が求められています。一方で、新しいニーズへの対応は、成長へのエンジンとも考えられます。その成長を支えるのが、当社のミッションです」(長澤副部長)
「なぜなら、新しいモノ、新しいサービスが登場すると、新しいお金の流れも必要になる。それを迅速にご提供するのはファイナンス会社の役割です。当社にはグローバルなビジネス経験やネットワークもあります。販売金融を通して、サプライヤーの事業全体をサポートし、成長を後押してまいります」(倉澤部長)
新型コロナウイルス感染症の収束に向けて、私たちは医療現場の最前線に立つ方々を、リースを通して支え続ける。
(内容、肩書は2020年10月時点)
Case Study
独立行政法人 国立病院機構 高崎総合医療センター
「感染拡大のリスクが非常に低下しました」
当院は第二種感染症指定医療機関となっており、新型コロナウイルス感染症患者さんに対し、入院診療および接触者外来などを実施することとなっています。
CTは、一般X線撮影では読み取ることができない画像撮影が可能です。重症度の判定に画像診断が威力を発揮し、入院の必要性の判断の手助けとなるため、今回CT撮影は必須と考えていました。しかし当院の既存のCT撮影は、一般患者との接触が避けられない動線となっており、また、新たにCTを病院建物内に設置することはスペース的に困難な状況でした。
病院建物外でなおかつ2020年5月中に設置可能なCT装置を探していたところ、条件と合致した『CT in Box』の情報を得ることができました。
実際に導入すると、一般患者と動線を分けることができ、そのため、感染拡大のリスクが非常に低下したと考えられます。職員の感染に対する意識もさらに上がることでしょう。また、屋外設置は日本初とのことで注目度も高く、当院の宣伝効果も少なくないと感じています。
『CT in Box』は基本的に半年間のリースということで、上部機関への事務手続きが簡略化されました。また、購入と違い一時的な高額キャッシュが不要であり、資金繰りに余裕ができました。今まで以上に病院機能も充実し、高度で的確な医療を地域の皆さんに提供していきたいと考えています。
お問い合わせ
ヘルスケア第二部
TEL:03-5219-6293