コロナ禍が迫る医療機器投資。リース会社の社会的使命とは?

医療技術の進歩に伴い手術用ロボットなどの普及が進み、電子カルテや診療報酬請求など、ICT化の波が後押しとなり、医療機器への投資が増加している。医療機器のリースにも今後とも確かなニーズが見込まれるが、一方で、コロナ禍で多くの施設が大幅な収益悪化を余儀なくされている。では、高度な医療機械を安定的に供給するために、リース会社に期待される役割とは何か? 三井住友ファイナンス&リース(SMFL)理事の西崎 勝幸に聞いた。

今後も医療機器全般でリース活用が見込まれる

理事 西崎 勝幸

医療現場では、さまざまな機器においてリースが活用されている。大型機器ではCT、MRIといった画像診断機器から、放射線治療設備、手術ロボットなどの治療機器、中小型機器では内視鏡や心電計など、多岐にわたる。公益社団法人リース事業協会による「リース統計」では、2019年度の医療・福祉分野でのリース取扱高は3,602億円だった。

リース業界をけん引する三井住友ファイナンス&リース(SMFL)の理事である西崎 勝幸は、医療機器リースの現状を次のように分析する。

「リースの利点である費用平準化や調達の利便性、設備管理、動産保険により、医療現場の機器全般でリースが活用されるものと見られます。

しかし、診療報酬制度の改定などで病院の再編が求められる中、MRIなどの高額な検査装置が必要な急性期(病気を発症した初期の患者が対象)病院は減り、回復期(急性期を脱した患者が対象)・療養型(慢性病患者や高齢者らが対象で長期治療型)に特化した病院が増加するにつれ、高額機器の導入は限られてくると考えられます」

高まる先端医療機器ニーズを支えるリース

一方、医療技術の進歩とともに、さらなる普及が見込まれる機器もあると言う。

「手術用ロボットや放射線治療装置などの治療機器はさらに普及が見込まれ、中核病院や専門病院を中心に、先端医療機器の導入は増えると考えられます。ただ、これらの機器は高額ですから、リース業界がファイナンス面で導入を後押しすることで、医療業界の発展につなげていきたいと考えています」

また、医療機器以外ではカルテ、検査画像、診療報酬請求などが電子化されており、これらに必要なITシステム機器への投資にもリースが活用されている。

「クラウド、遠隔医療、医療情報の共有化などをキーワードに、今後も情報通信技術を使った医療のICT化による情報化システムへの投資額増加が見込まれます」

悪化する医療機関の経済状況。リース会社の役割とは?

病院の経営は一層の効率化が求められ、例えば、機器の管理に加えて稼働状況の検証や設備の保守・更新をパッケージ化するなど、医療現場のニーズに即した新たなサービスを付加したリースを提供していくことが求められている。

「病院や介護施設にとって空調機器の入れ替えは大きな設備投資ですが、環境関連の補助金とリースを組み合わせることで、空調機器の入れ替えを通して省エネルギー・省CO 2にも貢献できます。

その他の医療分野では、日々の健康管理へのアドバイスや検診など、未病段階でのさまざまなサービスの拡大が見込まれます。そのため、技術やアイデアを持つ事業パートナーと共同し、端末機器をサブスクリプション(定額課金)形式で提供するなど、リース会社は今後新たな価値を創出していくことでしょう」

とはいえ、コロナ禍にある現在、病院や診療所、介護施設など医療機関の多くが大幅な収益悪化を余儀なくされている。

「確かに足元は厳しい状況にありますが、こうした中でも医療機関、地域社会にとって不可欠な機器の投資を我々がリースによって下支えしていくことが、リース会社の役割であり、使命だと考えています」と、西崎は断言する。

高い専門性を有するファイナンスで日本の医療を支え続ける

ソリューションも明確だ。SMFLの「ヘルスケアファンド」と「クリニック開業サポート」は、病院経営にとって大きな力となることが期待される。病院・クリニックの業界知識に加えて、医療機関の経営や患者へのサービスに関する知見のほか、医療機器メーカーについても豊富な知識を有する担当チームには、医療分野の高い専門性が期待できる。

また、医療機器の中古売買においても、SMFLは高い専門性を有する。単なるファイナンスの提供にとどまらず、中古売買機能を活用した現有機器の下取り・新規導入機器の将来価値査定などを絡めた総合提案を実現できるのだ。

すでに米国、アジア、中東諸国など計10カ国に輸出実績があり、世界各国の医療サービスの向上に貢献。CTなどの画像診断機器で世界最大級の展示会「RSNA(北米放射線学会)」にも3年連続で中古売買PRのブースを出展し、グローバルで事業を展開する。また、コンプライアンスを重視した医療機器のリユースで、購入者がSDGsに貢献できるというメリットも好評を博している。

コロナ禍の最前線に立ち続ける医療機関。未曽有のパンデミック下にあってなお、人々に安全・安心を提供し続けるために、医療機関の存続は必要不可欠だ。リースによる下支えが今、その本領を発揮する。

(内容、肩書は2021年1月時点)