ベンダーリースの変革期。メーカー・販売会社とユーザーの業務効率化を、SMFLのDXが推進

コロナ禍によりリモートワークを取り入れる企業が増加し、中小企業向けのベンダーリースも変革期を迎えている。リモートワーク商材やサブスクリプション(定額課金)モデルに対して需要が高まる中、モノを販売するメーカー・販売会社はもちろん、リース会社にもDX推進による営業活動や社内業務の効率化が問われている。これらの潮流を掴み、三井住友ファイナンス&リース(SMFL)の常務執行役員・本田悦司が、ベンダーリースの今後を展望する。

リモートワーク商材の需要が増加したベンダーリース。定額課金に近い新サービスへの期待も目立つ

2020年度の国内リース取扱高は4兆5,910億円。そのうち中小企業向け小口販売金融(ベンダーリース)は約8,000億円で、コロナ禍においても変わらず一定の存在感を示している。ベンダーリース事業で大手の一角を占める三井住友ファイナンス&リース(SMFL)で、同事業の統括責任役員を務める常務執行役員・本田悦司が今後を展望する。

常務執行役員
本田 悦司

「2021年度も引き続きコロナ禍の影響は残る一方で、リモートワーク商材の需要の高まりなど、ベンダーリースの取扱高増加につながるプラス材料があります。今年度上半期のベンダーリースの取扱高推移からも、市場が徐々に持ち直していると感じています」

そもそもベンダーリースとは、リース対象物件を販売するメーカー・販売会社などのベンダーとリース会社とが業務提携し、商談時にベンダーが顧客に対してリース会社をあっせんするビジネスモデルだ。同時に、リース契約に関する事務手続きもベンダーが代行する。

「ベンダーリースを通じてリース会社は、お客さまにモノの販売だけでなく、リースという金融機能を提供し成長してきました。最近はメーカー・販売会社から、『リース期間中の物件の保守もパッケージにしたい』という相談も増えています。そのため、今後は物件が故障した際には代替機を供給し、お客さまには修理代の負担が生じないといった、サブスクリプション(定額課金)モデルに近い、新たなサービスを付加したリースの取り組みが増えそうです」

ベンダーリースのスキーム

リースユーザーと非対面でビジネスを行うからこそ、DXによる業務効率化が重要

コロナ禍により、リモートワークやワーケーションなど、従来とは異なる勤務形態を取り入れる企業が増えてきた。働き方が多様化し、コミュニケーションのあり方も多様化してきている。リモート対応を進めたいメーカー・販売会社と、その業務をサポートするリース会社がともに問われるのが、営業活動や社内事務など業務の効率化だ。

本田は、「営業活動も事務手続きも質を落とさないように、デジタル化を進めてリモート対応できる環境を整備することが重要です」と前置きした上で、今後の企業のニーズを見定める。

「ベンダーリースでは、メーカーや販売会社がリース契約手続きを代行するため、リース会社はリースユーザーであるお客さまとは基本的に、非対面でビジネスを行います。また、ビジネスの性質上、大量の案件申し込みと契約手続きが発生するため、リース会社の業務効率化が大きなテーマになるのです。リモートワークに対応したサービスが求められる今、メーカー・販売会社の業務効率化に貢献するためには、Webサービスの拡充や電子契約の導入など、デジタルツールのさらなる活用が必要になるでしょう。つまり、リース会社のデジタルトランスフォーメーション(DX)を加速させることによりビジネス全体の業務効率化を一層推進していくことが必要です」

そう断言した後、「今後はどうリモート対応を進化させるかが問われるステージになります」と、本田は見据える。

「現在のようなビジネスの変革期においても、メーカー・販売会社などへの多様な販売手段の提供と営業活動の支援、中堅・中小企業にモノと安定的なファイナンスを提供するという、リース会社の使命は変わりません。今後、より環境に優しい設備への入れ替えを促すなど、リースの仕組みを通じて、メーカー・販売会社やお客さまとともに社会課題解決にも貢献していくことが、リース会社に求められています」

業界初、最適なリース料率の算出プログラムを開発。料率の実効性向上で営業活動を支援

デジタル先進企業を目指すSMFLでは、ベンダーリースのDXとして3つの取り組みを進めている。

1つ目は、2021年1月に実装した電子契約。すでに運用を開始していたベンダーリース向けの自動審査システムと、Web審査申込システム「SECOND PLUS」に加え、オンラインでリース契約の手続きを行えるシステムと、電子契約締結を可能にする「SMBCクラウドサイン」を導入。これにより、年間約10万件を超える契約手続きにおいて、申し込みから審査判断、契約締結に至るまで、ベンダーリースにおける一連のプロセスのデジタル化が実現した。

2つ目は、SMFLグループのSMFLみらいパートナーズが開発したWeb会議システム「assetforce live(アセットフォースライブ)」の提供。メーカー・販売会社やリースユーザーに向けて、オンライン商談や契約手続きを支援することを計画している。

3つ目に、前述した自動審査システムの大幅な刷新が挙げられる。刷新についてのプレスリリースは2021年11月に実施。自社開発したAIの活用により審査判断の精度を向上させることで、取引機会が大幅に拡大した。この自動審査システムでは、最適なリース料率を速やかに算出する、「料率算出装置、料率算出方法及び料率算出プログラム」も実装している。リース業界初となるこの取り組みをSMFLはさらに推進し、今後は実務での活用を図る構えだ。

SMFLはデジタル技術およびデータサイエンスを活用することで、メーカー・販売会社の営業活動の効率化と事務手続きの高い質を両立させ、ベンダーリースのビジネスモデルのさらなる高度化を図る。デジタル先進企業として加速の一途をたどるSMFLに期待が高まる。

※ SMFLと国立大学法人一橋大学、株式会社東京商工リサーチとの3社共同で、2020年9月付で特許を取得済み。

(内容、肩書は2022年1月時点)

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