コロナ禍で冷え込む設備投資。工作機械リースに見る、今後の期待

ものづくりの根幹を支える、工作機械。自動車メーカーに代表される大企業から、下請けを担う中小企業まで幅広いユーザーを持つため、工作機械のリース動向は景気の先行指標といえる。
高額な設備投資である工作機械の導入に際して、資金調達から既存設備の買い取りまで、商流の全てを支え続ける、三井住友ファイナンス&リース(SMFL)。同社の常務執行役員・海老原 良宜に、コロナ禍にある業界が直面する課題と、今後の見通しについて話を聞いた。

コロナ禍で設備投資の冷え込み続く

常務執行役員 海老原 良宜

工作機械は、「機械を作る機械」のこと。「マザーマシン」ともいわれ、自動車メーカーに代表される大企業から、下請けを担う中小企業まで裾野が広い。高額投資となるため、特に中小企業では広くリースが活用されている。

「工作機械業界は、300社を超えるメーカーが卸商社、販売店を通じて販売する商流となっていて、古くは販売に伴う金融機能を商社が担っていました。その後、リース会社がその機能を引き継ぎ、2019年度のリース・割賦取扱高は1,750億円。国内工作機械受注額の39%を占める重要な調達手段になっています」

こう語るのは、三井住友ファイナンス&リース(SMFL)の常務執行役員・海老原 良宜だ。

景気の先行指標とされる「工作機械受注」は、2017年度は内外需合わせて1兆7,803億円と過去最高額を記録した。しかし、2019年度は米中貿易摩擦による投資抑制などで、1兆995億円と減少。今期も新型コロナウイルスの感染拡大の影響を受け、設備投資が一段と冷え込んでいる。

※出典:「工作機械統計」より

グローバル化による内外需要の逆転を受け、日本政府が設備投資を支援

工作機械のユーザーは、50%超が自動車関連産業によるもので、自動車メーカーを筆頭としたグローバル化の進展に伴い、工作機械メーカーの内外需比率も2007年を境に外需と内需が逆転し、近年は外需が約6割を占める。

「リース会社も需要のグローバル化と工作機械メーカーの要請に基づき、中国、アジア、欧米の日系企業や現地企業向けの販売金融を、各国の法制度、税制、商習慣を踏まえて支援する動きを拡大しています。

一方、国内では環境に配慮した省エネルギー機種や、操作性を追求し、操作者の安全装備を確保したハイエンド機種(複合加工機、五軸マシニングセンタなど)の開発が進められています。

しかし、中小企業にとっては受注の長期展望が見通しにくく、投資に二の足を踏むことで機械の入れ替えがなかなか進まず、ものづくり現場のビンテージ問題(機械の老朽化による国際競争力の低下)が課題となってきました」

これに対して、政府は省エネ補助金、ものづくり補助金、エコリース促進事業、税制などの投資促進策で支援。リース会社もこうした補助金などの活用を含めたファイナンスを提供している。

期待される、現場のDX化に即したファイナンスサービス

「ものづくり現場の今後の課題は、IoT(モノのインターネット)やロボットを絡めた合理化・生産性向上・効率化の促進です」と、海老原は断言する。

「工場全体をIoTを絡めたネットワークで管理し、人員不足をロボットでカバーするといったものづくり現場の高度化、これに伴う機械の稼働状況の見える化、ダウンタイム削減、プロセスやメンテナンスコストの最適化など工作機械の使い方の変化が見込まれる中、リース会社は、レンタル、従量課金、サブスクリプション(定額制)といったユーザーの使用ニーズに沿ったファイナンスサービスの提供が一層求められるようになるでしょう」

ニーズに応えるSMFLの実行力

刻々と変化するものづくり現場のニーズに対して、リース会社は工作機械の商流の細部まで対応できるかどうかが肝となる。

その点においてSMFLは、大きなアドバンテージを持つ。50年を超える歴史を持つSMFLは会社設立の初期から工作機械を取り扱ってきたことで、工作機械に関するソリューションの提案力や取り扱い物件の目利きに強みがある。現在も工作機械を専門に取り扱う営業部があり、2019年1月にSMFLキャピタルと合併したことで、工作機械商流を網羅した国内外ネットワークを持ち、業界を代表するリース会社の地位が確固たるものとなった。

前述したエコリース促進事業の補助金交付額は毎年トップクラスで、エコリースなどの補助金を活用した取り組みはもちろん、オペレーティングリースや既存設備を活用したリースの取り組みなど、顧客ニーズに基づく総合提案が可能だ。

また、埼玉県川島町には3,000坪を超える広大な中古ヤードを持ち、大阪府や奈良県などのヤードも含めて中古工作機械の買い取り・販売にも注力している。これらのヤードを基点として、SMFLは工作機械のライフサイクルの各ステージにおけるビジネスを展開している。

経済活動に欠くことのできない“ものづくり”を、土台から支え続ける工作機械。連綿と受け継がれる歴史の前線で、新しいイノベーションを起こすために、リース会社の価値は大きい。

(内容、肩書は2020年12月時点)

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