産業設備の3Rで循環型社会に貢献。「解体」ビジネスを再定義し、大規模工事にも対応

SDGsに廃棄物の削減や管理が盛り込まれるなど、産業排出物にかかわる環境配慮はすべての企業にとり、経営を左右する課題だ。三井住友ファイナンス&リース(SMFL)グループは、リサイクル事業で先進的な取り組みを展開するアビヅとスクラムを組み、2019年にジョイントベンチャー「SMART」を設立。中古設備や金属スクラップの売却、廃棄物処理から、建物を解体し更地に戻すまでを一貫体制で請け負っている。リデュース(発生抑制)、リユース(再使用)、リサイクル(再資源化)の「3R」を通じたSDGs経営に取り組むSMFLグループの“本気度”に迫る。

解体業界初。「金融」と「リサイクル事業」の組み合わせで、SDGs達成に挑む

国際社会共通の目標として、今では広く認識されるに至った「SDGs」(持続可能な開発目標)。しかしその一方で、「自社の取り組みが、“SDGsウオッシュ”(実態が伴っていない、見せかけだけのSDGsへの取り組み)に陥ってはいないか?」と危惧するささやきも、当事者である企業の担当者からは伝わってくる。SDGsが掲げる理想の高さ、カバーする目標領域の広範さゆえに、こうした不安は偽らざる本音といえるのかもしれない。

SMART取締役 兼
SMFL 理事 リマシーン営業第一部 部長
高田賢治

だが、SMFLグループは“本気”である。SDGsという、人類が目指す目標地点までの険路に横たわる多くの課題を解きほぐし、社会の歩みを前進させるビジネスに、これまでいくつも取り組んできた。再生可能エネルギー設備へのファイナンスや、SDGsに貢献する団体への寄付などにリース料の一部を充てる「SDGsリース」の開発もその一環。そこに、SMARTの設立という強力な一手が加わった。

きっかけは2018年。SMARTの取締役とSMFLリマシーン営業第一部長を兼任する高田によれば、その話はSMFLのリマシーン営業部から持ち上がった。

「もっと、“川を上流まで遡って”みたらどうか、という案が出てきたのです。川上に行けば、中古設備や金属スクラップを確保できる機会が、さらに増えるのではないか、と」

どういうことか。もう少し詳しく、高田の話を聞いてみよう。

「私どもリマシーン営業部は、SMFLが取り扱っているリース物件の、いわゆる出口処理を担っている部署です。リース期間が満了して戻ってきた工作機械や輸送機、医療機器などを外部に再販するほか、そのノウハウを生かし中古商社的に満了物件以外の一般中古物件の売買も行っています」

「製品として再販できないものは、スクラップ資源としてリサイクルに回します。つまり、私どもの事業それ自体がリデュース・リユース・リサイクルの3Rといえるのですが、より広範かつ強力なSDGs経営戦略をさぐる議論のなかで、当時、リースの枠を超えた新規事業を開発していた事業開発部(現在の営業推進開発部)の対象としても合致し、『解体ビジネスへの参入』というアイデアが出てきたのです。それまで“出口”で扱ってきた“モノ”の流れを川上まで遡れば、商材獲得のチャンスがさらに増え、3Rのパイの拡大につながりますからね」(高田)

2018年当時、リース業界でこうしたビジネスモデルに着手している企業は見当たらなかった。いの一番に乗り出したいという意欲も後押しとなり、同年夏、以前から付き合いのあったアビヅに声を掛けた。

アビヅ側はその話を、驚きをもって聞いたという。

SMARTの代表取締役、そしてアビヅでは事業本部 本部長を務める佐野氏は、当時の思いをこう打ち明ける。

SMART代表取締役 兼 アビヅ事業本部 本部長
佐野拓也氏

「本当に意外なお話でした。金融の会社が参入してきた例など、それまで聞いたことがありませんでしたから。でも、話を聞けばなるほど、理に適っている。当社(アビヅ)自体がジョイントベンチャーで、異業種協業に抵抗感がなかったこともあり、この画期的な新事業に踏み出すことを決断しました」

しかし、道のりは険しいものだった。会社設立後、本格的な事業スタートを前に、「リサイクルや解体の業界から向けられる視線はけっして温かいものではなかった」と佐野氏は振り返る。どれほどの力量を備えているのか、と遠巻きに眺められるなか、準備は急ピッチで進められた。

“ジョイント”がもたらした新風。より高次元での「信用」を獲得

SMARTの事業体制には、ジョイントベンチャーならではの特徴がある。

まず、請負案件の規模・工種などを選ばず、多様・広角・柔軟な対応が可能な点。許認可資格と工事規模(工費の金額)などに関して厳格な法的制約のある建築請負業にあって、アビヅは特定建設業許可を有する建設業者。加えて、解体業者、リサイクル業者、産廃処理業者などとの協業ノウハウも豊富にあることから、各工程で最適かつ優良な協力会社の力を結集することができる。

一方のSMFLは、全国あまたの企業との広範なビジネスで培われた、モノに対する知見とノウハウを有する。そしてもちろん、約5兆円の営業資産も後ろ盾となる。そんな両社がタッグを組めば、「発電所レベルの解体工事にも対応できます」と佐野氏は胸を張る。

SMARTの特長:大規模工事を請負可能な「特定建設業許可」を取得

特定建設業許可(業種:とび・土工、解体工事)を受けた建設業者(SMART)は、大規模工事の元請が可能。工事金額に関する法的制約はない

もう1つの大きな特徴は、解体から再資源化、敷地を更地に戻すまでを、一貫体制の枠組みのなかで完結できる点だ。

そのメリットの大きさを、佐野氏はこう解説する。

「解体やリサイクルとひと言でいっても、お客さまのご要望や、お困りになっていることなど、現場のニーズはさまざま。化学プラントには化学の、港湾施設には港湾ならではの“お困り事”があります。それらに対し、全工程を自社一括で請け負うことで初めて解決できる問題は少なくありません。作業は協力会社に依頼しますが、当社の担当者は現場に常駐し、モノに触れながら、責任を持って全工程を監理します。現場のニーズにしっかり寄り添い、そこで築かれた深い信頼関係をもとに、解体後の新たなステップに歩を進めるためのお手伝いをすることが可能になるわけです」

一方「現場のニーズ」は、コスト上の制約とシビアにせめぎ合うケースも多い。この面のメリットについて、高田が補足する。

「工場などを解体すると、遊休設備が発生します。それらは、SMFLリマシーン営業部がきっちり再販。金属スクラップはアビヅさんが処理能力を生かして再資源化する。これらにより解体工事のコストをトータルで大幅に節減でき、ご要望を実現することが可能になります」

顧客にとっては、2社合弁・一貫体制のSMARTに元請を発注したからこそ得られる価値だといえそうだ。佐野氏が言う。

「ジョイントは強い力になっています。とはいえSMFLさんにとって、解体事業への進出は非常に勇気のいる決断だったはず。現場を抱えれば事故が起こるかもしれませんし、周辺住民には迷惑をかけるかもしれません。社会からの『信用』こそが最大の企業資産ともいえる金融・リース企業にとって、それらはきわめて大きなリスクになりえます。そんなリスクを引き受けたうえでの事業だけに、オペレーションにはいやがうえにも慎重を期すことになる。当然のことです」

工場一括処分支援サービスのスキーム

SMFLグループの工場一括処分支援サービスを活用することで、コストダウンと同時に3Rによる循環型社会への貢献ができる

「信用」を重視する、慎重で堅実なオペレーション。それは、リース業と解体業という互いに“異質な”業態が組むスクラムだった。佐野氏はさらに、事業がスタートしてから気づいたという“想定外の強み”を指摘した。

「現場には今もSMFLさんから細かく質問や指摘が入ります。『安全面は大丈夫か?』『コンプライアンスの状況はどうなっている?』と。正直なところ、私も最初は戸惑いました。しかしおかげで、アビヅ出身の社員たちはこの仕事を見つめ直すきっかけができ、工事の仕方にも工夫が生まれました。『この程度の騒音や粉じんは仕方ない』ではなく、『騒音がさらに出にくい工法を考えてみよう』『もっと入念に粉じん対策を講じよう』と、考え方が変化し定着したのです」

SMFLの参画が、解体事業に新しい風を呼び込んだ。その風は、より高度な安全性と、より厳格な順法性、そしてより高次元の社会的信用となって、SDGsの達成に向けて結実しつつある。「対応がきめ細かい」など、顧客企業からの評価も高い。

顧客企業に寄り添い、「環境配慮」の価値も提供

業績は順調。COVID-19(新型コロナウイルス感染症)の逆風を受けた2020年度(2021年3月決算)は5カ月間の作業中断を余儀なくされたものの、それでもプラスの収益を上げた。2021年度は前年比で2倍の売上を目標に掲げるなか、すでにその6割に相当する請負案件を受注しているという。

今後の課題を、高田はこう展望する。

「SMFLはグループ全体として、SDGs経営を掲げています。SMARTのビジネスもその一環としてしっかり定着させたい。環境貢献を、“新たな付加価値”としてお客さまから評価していただけるよう、これからは“見せ方”を工夫する必要もあると考えています」

同じ思いが、佐野氏の言葉にもにじむ。

「SDGsや脱炭素への貢献そのものが、私どもに対する発注の動機となるよう、しっかり取り組んでいきたい。国が政策として脱炭素を打ち出したこともあり、これからはお客さまの意識も変わっていくことでしょう。一緒に循環型社会の構築に向けて進んでいきたいと思います」

やはり、SMFLグループは“本気”である。

SMFLグループの工場一括処分支援サービス

Introduction

株式会社SMART

解体事業の旗手が、「3R」を次のステージへ。
―― プラントの解体工事から、産業機器の再販・再資源化までワンストップで提供

株式会社SMARTは、株式会社アビヅとSMFLみらいパートナーズ株式会社(三井住友ファイナンス&リースグループ)の2社が設立した、設備やプラント処分の元請事業会社です。アビヅの持つ解体工事の監理・施工技術、リサイクル技術、リユース販売ネットワークと、SMFLみらいパートナーズが持つ“モノ”に対する知見やノウハウを生かして、プラントの解体工事や設備の撤去作業から、不要となった機械・設備の再販・再資源化までワンストップでご提供します。

※新型コロナウイルスをはじめとする感染症予防対策を取った上で取材を実施しております。 

(内容、肩書は2021年4月時点)

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お問い合わせ

リマシーン営業第一部(東日本エリア) 
TEL:03-5219-6384

リマシーン営業第二部(西日本エリア) 
TEL:06-6282-3670

SMFLの中古機械買取・販売サイト「RE-MACHINE」 
https://www.re-machine.jp/

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