リース契約がSDGs達成への貢献に。 業界初のSDGsリース『みらい2030®』を開発

三井住友ファイナンス&リース(SMFL)のSDGsリース『みらい2030®』は、SDGsへ貢献する機会をリースユーザーに提供する画期的なリース商品だ。リース契約をすることが、SDGs達成への貢献になるよう設計されている。2019年12月に業界の先陣を切って誕生し、およそ1年。すでに数多くの企業にSDGs貢献の機会を提供し、好評の声を集めている。商品に込められた思いと展望を、開発担当の中尾武甲が語った。

きっかけは、出向の立場でSMFLを見た社員のふとした気付き

営業推進開発部 副部長 中尾 武甲

SDGsリース『みらい2030®』は、2019年夏、三井住友銀行に出向しリース以外のビジネスに触れていた、営業推進開発部・古城光のふとした気付きに始まったという。

銀行や証券会社には、社会貢献と金融を掛け合わせた商品がいくつもある。しかし、リース会社はどこもそういった商品を出していない。同じ金融機関なのになぜだろうかーー。

その疑問を古城がもちかけたのが、同じ営業推進開発部の副部長、中尾武甲だった。

「言われてみると、確かに前例がない。当社は2020~2022年度の中期経営計画の柱の1つにSDGs経営推進を掲げています。2019年の夏は、ちょうどSDGsの本格推進が重要テーマとして挙がっていた時期でした。そこで自分たちでSDGsリース商品を作ろうという話になったのです」

SMFLは経営ビジョンに「社員のチャレンジと成長を応援する企業」も掲げており、若手社員でも声を上げやすい企業文化がある。中尾、古城らの意欲はすぐに受け入れられ、社長を筆頭に経営陣から「やってみてくれ」と背中を押されたという。

同じSMBCグループのシンクタンク・コンサルティング企業である日本総合研究所(日本総研)と協同して、商品開発に着手した。

評価リポートで実態を把握。SDGsへの貢献を見える形に

「『みらい2030®』は、『評価型』と『寄付型』の、2つの金融商品で構成されています」と、中尾が説明する。

「評価型」は、再生可能エネルギーや省エネルギー関連設備を対象にした商品だ。それらの設備を導入することで軽減する環境負荷を日本総研が評価し、まとめたリポートをリース契約とセットにして提供する。

また、契約企業が今後取り組みやすいSDGs貢献の方法とその効果も併せて評価し、リポートに盛り込む。現在は複数社と交渉を進めている段階だ。

順調に成約数を伸ばしているのが、もう一方の「寄付型」だ。

「リース料の0.1%を、当社がSDGsの達成に貢献する団体に寄付するという商品です」

寄付先を検討する過程で候補に挙がったのがNPO法人キッズドアだった。

NPO法人キッズドアは、低所得世帯の子どもの居場所づくりや学習支援などを精力的に実施している団体だ。その活動内容が多面的にSDGs達成に貢献していることは日本総研が評価済みで、この団体に寄付するということは貢献を推進することにほかならない。

「お客さまにはSDGs貢献活動をしていると対外的に発信していただけますし、SMFLのホームページで社名をご紹介するなど、当社も発信のお手伝いをいたします」

開発にあたって特に配慮したのは、この評価の部分だったという。

「SDGsウオッシュ(実態が伴っていないSDGsの取り組み)ではなく、お客さまが真にSDGsに貢献していると、きちんと表明できる商品にするよう気を付けました。そこでキッズドアの評価リポートをお客さまにお渡しするだけでなく、寄付したお金の使われ方についても日本総研が事後評価してリポートにまとめ、お客さまに提出します」

ただし、寄付先を検討する過程では、政府が主管している基金なども挙がったそうだ。そうした組織であれば、名前も通っていて商品の説明はしやすい。しかし、寄付金がどう使われたかを追いにくい場合があり、契約企業は貢献の実感を得にくい。寄付後の分かりやすさを重視したことも、NPO法人に寄付先を決めた理由だという。

SDGsリース『みらい2030®』(寄付型)のスキーム

※1 リース契約以外(延払契約など)も対象です
※2 お客さまは寄付金控除などは適用できません

おすすめポイント

  • 手軽。お客さまからのリース料の一部が、SDGsに貢献する活動につながります
  • 貢献。他のお客さまと寄付金が合算することで、大きなインパクトを期待できます
  • PR。当社ホームページなどでご協力をいただいたお客さま名を掲載します

SDGsへの取り組みハードルを低く

『みらい2030®』の「寄付型」を採用している企業は、2020年12月末現在で74社。契約総額は約86億円に上っている。

好評の理由を、中尾は以下のように挙げる。

「まず、リース契約をするだけで、SDGs貢献ができるという点。これは多くのお客さまから、ありがたい商品だというお声をいただいております」

今や業界を問わずSDGs熱が高まっているが、実際には「どう取り組んでいいか分からない」「人を割く余裕がない」「社内の賛同を得にくい」などの理由で着手できずにいる企業は非常に多い。しかし『みらい2030®』は、余分な手間が掛からず確実な貢献ができ、しかも分かりやすいので初めて取り組む企業にとってもハードルが低い。

「実際に従業員が数十名という小規模な企業さまにもご採用いただいております」

寄付先が子どもの教育支援や貧困対策だという点も、好調の理由の1つだという。

貢献ができるSDGs目標(イメージ)

「教育や貧困問題は、多くの企業にとってビジネスを通した貢献が難しい分野です。例えば、環境分野で熱心に取り組んでいる企業さまでも、異なる分野、例えば教育や医療といった分野での事業を通じた貢献は難しいという声も聞きます。しかし、『みらい2030®』なら簡単に取り組める。SDGs活動の幅を広げられる点でも歓迎されています」

そもそもリース商品だということ自体が大きなアドバンテージだといえると、中尾が続ける。

「SDGsと自社のビジネスをどう結び付けるか、考えるのは難しいものです。しかし、リースを通じたSDGsへの取り組みなら、業種、規模を問わずあまねくご採用いただけます」

さまざまな企業が採用しやすいように、商品設計の段階で制限を減らしたことも好評につながっていると分析する。

商品化を通じて、「自分ごと化」へ。目指すのは、SDGsリーディングカンパニー

『みらい2030®』の誕生から1年。事業収益以外にも得たものは大きいと中尾は感じる。

「まず、お付き合いの幅が広がりました。SDGsリースに興味をもたれて新規にお取引を開始したお客さまがたくさんいらっしゃいます。またこれをきっかけにお付き合いが深まったお客さまもいました。金額的には当初の見込み通り、お客さまの評価としては見込み以上です」

また、SMFL社員の社会貢献意識も高まったという。

「SDGsリースを説明するには、SDGsについて知っておく必要があります。営業担当者をはじめ従業員たちは、積極的に勉強を重ね、理解を深めています」

会社としても、今年からSDGs推進の体制を強化した。社長が委員長を務めるSDGs推進委員会では年2回、各部門のSDGs関連施策の進捗報告を行っている。今年は新たに全部店から選出されたSDGsオフィサー向けに勉強会を開催し、SDGs推進委員会で報告された内容を含めSDGsについての理解を深めてもらった。そこで得た知見をSDGsオフィサーがそれぞれの部店に還元し、取り組むべき課題・施策を共有、実践するという流れだ。

「SDGs貢献の面からもお客さまをサポートし、パートナー企業としての当社の価値をより発揮していきたい」

リース業界初のSDGs商品を世に送り出したSMFL。豊かな未来を紡ぐ取り組みに、今後も期待したい。

(内容、肩書は2021年1月時点)

お問い合わせ

営業推進部 
メールアドレス:

記事PDF

関連記事またはサービス・ソリューション