SDGsリース「みらい2030®(寄付型)」で高校生世代を支援。貧困からの脱出と教育の機会拡充に貢献するSMFL

三井住友ファイナンス&リース(SMFL)の「SDGsリース『みらい2030(ミライニーマルサンマル)®(寄付型)』」は、リース料総額の0.1%を、SDGsの達成に資する公益財団法人またはNPO法人に寄付する取引だ。取引企業にとっては、リース契約がSDGs達成への一助となることから、大きな反響を呼んでいる。SMFLが寄付先の1つとするのが、子ども支援で実績のある認定NPO法人キッズドア。なぜ、リース会社であるSMFLはNPO法人が行う生活困窮家庭の教育支援事業(学習支援、居場所支援)をサポートするのか。この取り組みの背景とその先を見据える未来に迫る。

企業のSDGs貢献意欲に応えるスキーム

SMFLが日本総合研究所(以下「日本総研」)の協力を得て「SDGsリース」の取り扱いを開始したのは、2019年12月のこと。以来2年余りのあいだに契約企業数は196社を数えるまでになった(2021年12月末現在)。

日本国内でSDGsの裾野が大きく広がったのは昨2021年。17の目標に共感した多くの人たちが、2030年までの目標実現に向けた道を模索し始め、企業もまた、持続可能な発展を目指すべく、これまで以上に真剣な活動を実践している。ちょうど1年前に本Webサイトで「SDGsリース」を紹介した記事の時点から、122の企業が新規に契約を締結したこともその表れといえるだろう。

SDGsリース「みらい2030®(寄付型)」は、企業のSDGs貢献意欲に応えるというコンセプトのもとに設計された。実際、SDGsリースに賛同する企業からは、こんな声が寄せられている。

キッズドアでの学習支援風景(2019年撮影)※現在はマスクを着用しています

「リース取引を通じてSDGsに参加できる『みらい2030®(寄付型)』は、SDGsへの取り組みを始めて間もない当社のような中小企業にとっては、すぐに取り掛かることができて、ありがたい」(化学工業)

「『SDGsリース』の大きな魅力は、寄付の手続きまで含めてSMFLが行う点。ユーザーには、この手間がかからず、通常のリースと変わらない。とりわけ『みらい2030®(寄付型)』の寄付先のキッズドアは、ジュニア世代の育成に注力している当社と親和性があった」(スポーツ教育)

「みらい2030®(寄付型)」が実現を目指すSDGs目標は、17ある中の目標1「貧困をなくそう」、同4「質の高い教育をみんなに」、同8「働きがいも経済成長も」の3つ。特に焦点をあてるのが「教育」であり、わけても「高校生世代への支援」だ。

SDGsリース『みらい2030®(寄付型)』のスキーム

※1 リース契約以外(割賦・立替払取引など)も対象です
※2 お客さまは寄付金控除などは適用できません

焦点は“公助の空白”の高校生世代

SDGsリース「みらい2030®(寄付型)」の寄付先となっているキッズドアは、実績に基づき内閣府から活動支援として税制上の優遇措置を認定されている認定NPO法人。子どもの学習そのものだけでなく、学習できる環境づくりを丸ごと支援し、貧困の連鎖からの脱出をサポートしている。理事長の渡辺由美子氏が言う。

「子どもに対する公的支援は、その多くが義務教育の期間に合わせて、中学卒業時で終了してしまいます。そのため、高校生の年代はぽっかり空いた “ 支援の空白地帯 ”。でも、学習支援を途中で止めてしまうと、それまで積み上げてきたものが無に帰しかねません。高校生に対する支援は、その後の自立にとって非常に大切なのです」

認定特定非営利活動法人キッズドア 理事長
渡辺 由美子 氏

日本では現在、生活困窮家庭の義務教育を修了した高校生が極めて厳しい状況に置かれている。高校中退は「本人の怠惰」によるものと捉えられがちだが、実情はそればかりではない。貧困を背景にアルバイトに追われて十分な学習時間をとれず、赤点を取り、やむなく中退せざるを得ない場合も多いのだ。高校を中退すると社会のメーンルートから離脱してしまい、貧困の連鎖から抜け出せなくなるケースが少なくない。にもかかわらず、「公助の網の目は粗い」(渡辺氏)という。

キッズドアが運営しているのは、経済的な事情などで学業に困難を抱えている高校生世代のための学習会や、居場所型学習会。渡辺氏が続ける。

「SMFLさんからのご寄付は、高校生を対象とした複数の学習会の運営資金になっています。日本では、企業が “ 本業 ” を通して若者の貧困問題に取り組む事例がなかなか見られず、残念に思っていました。そんな中、SMFLさんのような大企業がこの課題にご関心をお持ちだと伺ったときは、『画期的なことだ!』ととてもうれしく感じたものです」

年間200人の若者に「未来へのドア」を開く

「リース会社という業種は、もともと環境貢献との親和性が高い」と指摘するのは、SDGsリース事業を管掌する執行役員で、営業推進開発部長の大村尚之だ。リース事業の中核を支えるのは、クリーンエネルギーや再生可能エネルギーの導入推進といった “ 脱炭素化 ” の取り組みに加え、3R(リデュース・リユース・リサイクル)や共創・シェアリングなどの思想。社会の共有資産としてモノを取り扱う事業を営み、企業市民として環境活動を実践している。

とはいえ、「こと子どもの教育や貧困に関わる分野となると、当社の事業が直接関与する機会は多くはありませんでした」。そのことに大村は課題を感じていたと言う。ともすると大きな社会課題は、大きいがゆえに自分事化しづらい。ではなぜ大村は、貧困や教育を自身の課題として認識し、本業での解決に取り組むのだろうか。

SMFL 執行役員 営業推進開発部長
大村 尚之

「2019年に、沖縄の貧困世帯の子どもを支援する団体さまに、当社のお客さまから返還を受けた中古のパソコンを寄付する機会があり、大変喜んでいただいたのが契機になりました。以来、子どもの貧困問題について、事業を通して貢献する方法はないだろうかと模索する中で、一社員のアイデアがきっかけとなり、『リース契約を通じての寄付を、企業の皆さまからご賛同いただき、子どもたちの支援に使っていただく』というSDGsリースのスキームにたどり着きました」(大村)

「みらい2030®(寄付型)」を通じた寄付により、キッズドアでは年間200人の高校生が学習会に通えるようになり、キッズドアの各種学習支援プログラムを複数受けることが可能になるという。その結果、学力が向上し、進路の選択肢が広がり、自分の努力と成長によって自立を実現する──そんな希望が生まれ、新しい未来が開かれるのだ。

一方、リースを契約した企業は、寄付の成果数字(プログラム参加人数など)や影響(参加者に起きた変化など)について、「事後評価書」というかたちでSMFLから約1年後に報告を受ける。「ご契約くださったお客さまの中には、自社のSDGsアクションとして『みらい2030®』のご契約をホームページ内で紹介なさる例もあります。『みらい2030®』の目的の1つは、この課題をより多くの人に知ってもらい、ご賛同を寄付につなげること。契約後のお客さまがさらに発信してくださるのはうれしいですね」(大村)

「その通りです」と、渡辺氏もうなずく。「まず知っていただくことが何よりも大切。日本にこういう社会課題があることを多くの方々が理解すれば、きっと、制度も社会も変わるはずです。企業の皆さまに自ら発信していただけるのは、すごくありがたい」。

キッズドアでは、小学生から高校生世代までを対象とする74拠点での無料学習会やオンライン学習会の開催、居場所の提供、子どもの保護者に対する就労支援などを実施している。「みらい2030®」の寄付先の選出にあたったSMBCグループのシンクタンク・日本総合研究所がこうした活動を高く評価。推薦を受けたSMFLも、迷うことなく寄付先として選定した。

大村は語る。「以前からお客さまの声として、“ SDGsに貢献する寄付をしたいが、寄付先を選ぶのが難しい ” というお悩みを耳にしていました。『みらい2030®』がスタートしたことで、“ このリース商品なら、日本総研とSMFLが選定した寄付先なので会議でも通しやすい ” と仰っていただけます。また、通常業務を通じての社会貢献に難しさがある事務管理部門などでも、“ リースを通してなら可能になる ” との評価を頂戴しています」

高校生を対象とする居場所型学習会の様子。定時制高校への登校前に、学習支援を受ける生徒もいる。取材日には、「就職希望先から内定を得た」と報告しに立ち寄った生徒の姿も見えた

行動が伴って初めて、社会課題は自分事化できる

「社会へのドア」を、貧困に苦しむ日本の子どもたちに開くため、解決すべき課題はまだまだ多い。キッズドアの今後について、渡辺氏はこう展望する。「貧困家庭の子たちが自立し、やがては社会に貢献する大人になれるよう、さらに支援の幅を広げたい。その一環として、英語やITなどのスキルを身に付けるプログラムを増やそうと考えています。また、外国にルーツのあるお子さんの家庭環境を支援する事業も行う予定です」。多岐にわたる事業のすべては、ただ1つの目標に収斂する。渡辺氏の言葉に力がこもる。「貧困が教育格差を招き、次世代の貧困を生む。その連鎖を断ち切ることが私たちの目標です」

支援を必要とする高校生と彼らをサポートするキッズドアが一方にいる。また一方には、その取り組みに貢献しようと志す企業がある。「リース」を介してその両者をつないできたSMFLにも、この間、意外な発見があったようだ。

「この取り組みを通し、私たちもさまざまな気づきを得られました」と大村が振り返る。「会社と家の往復だけでは見えていなかった社会の現実に対する認識や『たとえばこんな貢献はできないだろうか』と、固定観念にとらわれず考えることの必要性。何より、頭で分かっているだけではダメなのだということを痛感しました。行動してこそ見えてくるものは多く、行動を伴わなければ社会課題を自分事として捉えるのは難しいのです。その意味で、これからもさまざまな社会課題を自分事として捉えていただけるような機会をお客さまに提供していきたい」。大村が見据える未来は、すでに輪郭がはっきりと表れ始めている。「お客さまのご要望にお応えするかたちで、『みらい2030®(寄付型)』の寄付先は、今春より複数から選択できるようになりました。教育支援や貧困支援のほか、衛生問題、難病支援、補助犬育成、森林保全などへも貢献することができます」

渡辺理事長が「画期的」と快哉を叫んだ『みらい2030®(寄付型)』。その今後に注目していきたい。

※ 新型コロナウイルスをはじめとする感染症予防対策を取った上で、取材・撮影を実施しております。

(内容、肩書は2022年3月時点)

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