所有する時代の終焉に、高まる「短期レンタル」ニーズ。踏み込めなかった、IT機器や次世代ロボットのテスト導入にも最適

リース業界最新動向 Vol.6 レンタル編

新型コロナウイルスの感染が拡大する中、業種を問わず、感染リスクの回避を目的とした機器の導入や、人と人との接触機会を減らす目的での次世代ロボット導入が増えている。初めて導入を検討する企業も多いため、レンタルへのニーズが高く、中でも試験的な導入として短期レンタルを活用するケースが目立つ。今回は、IT機器はもちろん、介護用機器や次世代ロボットなど幅広くレンタルを手掛けるSMFLレンタル株式会社 代表取締役社長 八瀬浩一朗に、レンタルビジネスの最新動向を聞いた。

短期レンタル活用、試験的に導入し機器の効果を検証

SMFLレンタル株式会社 代表取締役社長 八瀬 浩一朗

「感染リスクの回避を目的に、機器のレンタルニーズが高まっています。代表的なものに、テレビ会議システム、サーマルカメラ、遠隔監視システム、コミュニケーションロボット、掃除ロボット、配膳ロボットなどが挙げられます」と語るのは、SMFLレンタル株式会社 代表取締役社長 八瀬浩一朗だ。

また、次世代ロボット分野でもニーズに変化が見られると言う。

「これまで主な導入目的であった省人化・コスト削減に加え、人と人との接触機会を減らすためにロボットの活用を検討する企業が増えており、今後さまざまな製造現場への導入が期待されます」

ウイズコロナ時代で初めて次世代ロボットの導入を検討する企業も少なくない。その場合、高額な製品を本格的に導入する前などは特に、レンタルの有用性が高いといえる。

「レンタルは月単位など短期利用が可能なため、検証を目的とした短期レンタルが活用されています」

従量課金制など、レンタルの特性を生かし自社製品・サービスの商流を活性化

また、レンタルでの導入がすでに普及したパソコンも、新たな需要が出てきていると言う。

「テレワークに必要な機能をあらかじめインストールした機器や、不足する台数を一時的に補完する短期間のレンタル。また、ピーク時の台数をあらかじめ想定して長期でレンタルするが、使用しない期間は機器の返却が可能な『従量課金制』など、ユーザーのニーズに応じて導入方法、契約形態は多種多様です」

パソコンレンタルの代表的な特性は、契約期間中の保守サービスの提供、故障した際の代替機供給、短期の期間設定や従量課金制の対応などだ。販売からサービスへビジネスモデルをシフトしようとしている機器メーカーや販売会社にとっても、自社の製品・サービスの商流にレンタルを活用することは有効で、レンタルの機能を取り入れるための協業が増えている。

「メーカーや販売会社の最新動向とニーズを取り込み、取り扱い機器や機能を拡充していくことがレンタル会社に求められます」

所有から使用へ、加速するパラダイムシフトに新たな価値で対応

ウィズコロナの今後を見据えると、さらに多岐にわたる機器、取引形態への対応がレンタル会社に求められる。

「レンタル事業を強化・拡大していくには、機器の『再販価値』に対する目利き力に加え、複数のお客さまが繰り返し使用するかどうかを見極める、『再使用価値』に対する目利き力が必要になります。

さらには、サービス機能を提供できるパートナー企業との提携や幅広い顧客層を有することもますます重要になります」

リースと異なるさまざまなサービスを付加できるレンタル事業は、これまでリースが担ってきた販売促進機能に加え、メーカーや販売会社に新たな価値を提供し、時代の要請に応えるソリューションになり得る。

「所有から使用へのパラダイムシフトはさらに加速します」と、八瀬は分析する。

導入前に体験を通じた初期検証を実施

現在SMFLレンタルでは、新型コロナウイルス感染リスクの低減に役立つ機器として、以下のラインナップを提供し好評を博している。

特に、初めてテレワークを導入する企業向けにパソコンやWi-Fi(ワイファイ)などをパッケージした商品が好評を博しているという。

AI(人工知能)搭載型 サーマルカメラ

RFIDスキャナ
※商品にかざすと複数のタグを一括で読み取ることができるスキャナ

テレビ会議システム

テレワークパッケージPC

遠隔操作コミュニケーションロボット
“temi(テミ)”

AI (人工知能)搭載型清掃ロボット
“Whiz i(ウィズ アイ)”

物流支援ロボット
“CarriRo(キャリロ)”

協働ロボット “CRX”

SMFLレンタルがレンタルサービスまたはレンタルスキームの提供をしている次世代ロボットは、レンタルサービス用展示場「Tokyo Robot Base」(千葉県市川市)で、動作確認や体験を通じた初期検証をすることができる。施設内のセミナールームでは、安全講習を受けることも可能だ。

また、生産設備のロボットシステム(ロボットを活用した生産ライン)の導入を検討するユーザー向けには、2020年10月より検証機会として「ロボトライ」をサービス提供している。

ロボトライ」は、システムインテグレーター(SIer)によるロボットの「仕様定義」(顧客の要件、システムの実現性検証・構想設計、業務運用確認、費用算出など)の検討、設計や部品選定、組立調整、テスト実務を検証用ロボットのレンタルと一体で提供するサービス。

改善を重ねることで有用性を高めていく生産設備において、導入前に十分な検証をすることにより、過剰スペックによる投資費用の膨らみ防止に役立てることを主な目的としている。

SMFLはグループの多面的な対応力を駆使し、リース事業とレンタル事業の両輪でウィズコロナ時代に、真に価値のあるソリューションを提供し続ける。

(内容、肩書は2021年3月時点)

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