投資の意思決定を迅速化。 体験価値をデザインする、SMFLレンタルの「モノ型コンサル」

人手不足とコロナ禍を背景に注目を集めるロボット。省人化、非接触・非対面のソリューションとして期待される一方、導入を検討する企業としては、設備投資に見合うだけの効果を得られるのかが気になるところ。そんな迷いを一掃してくれるサービスが、「レンタル」だ。三井住友ファイナンス&リース(SMFL)グループのSMFLレンタルは、2021年9月、ロボット展示施設「Tokyo Robot Base」(TRB)をリニューアル。商材単体の展示をより発展させ、テーマを設定したソリューションの体験施設として、さらにはパートナー企業との共創の場として生まれ変わった。

広がるロボットの活用。省人化・非対面ニーズを捉える

ロボットへのニーズに変化が起きている。従来の産業用ロボットは、人と一定の距離を置いた場所での高速・反復作業が得意だった。しかし近年は、人と肩を並べる近さで稼働し、人の動きを感知して直ちに停止したり、動作を繊細にコントロールしたりできる「協働ロボット」の導入が目立つ。サービス業の現場では、サービスロボットと呼ばれるコミュニケーションロボットをはじめ、配膳、警備、清掃などにロボットの活用が広がっている。

こうした動きを受け、ビジネスの最前線でさまざまなニーズに応えてきたSMFLレンタルが、今、力を入れるのがロボットのレンタルサービス。ロボットを開発・製造・販売するパートナー企業と共に、ユーザーの課題解決に挑んでいる。

「SMFLレンタルさんとは、コピー機のレンタル事業で長年協業してきたご縁があり、ロボットでもタッグを組むことになりました」と語るのは、SMFLレンタルと10数年来のパートナー関係にある大塚商会で営業本部 トータルソリューショングループ TSM課 執行役員を務める渡邊賢司氏だ。戦略の一端をこう紹介する。「大塚商会はDXを加速させる新たなソリューション提案に特に注力しており、ロボットはAIと並ぶ戦略事業の1つです。2020年から、コミュニケーションロボット『temi』(テミ)のレンタルサービスを提供しています」(渡邊氏)

大塚商会 営業本部
トータルソリューショングループ
TSM課 執行役員
渡邊 賢司 氏

temiは、AIアシスタント機能を搭載したロボット。自律走行して人に随伴し、移動しながらビデオ通話や案内ができる。医療法人徳洲会 湘南鎌倉総合病院(神奈川県鎌倉市)で2021年9月から行われた実証実験(同県の新型コロナウイルス感染症対策ロボット実装事業)では、temiを「入退院説明ロボット」として試験導入。看護師に代わり館内を案内しながら入退院手続きなどを患者に説明することで看護師の負担軽減に大きく貢献、医療の最前線で好評を博したという。この実証実験で、渡邊氏はロボット導入の勘所について確信を深めたそうだ。

「何でもできると思われがちなロボットですが、実際は、『何の作業をロボットに代替してほしいのか』をあいまいにしてはいけません。湘南鎌倉総合病院では導入の目的を、『看護師に代わる入退院の案内・説明業務』と明確化しました。これにより、最適なプログラムを設計でき、現場にフィットしたサービスが提供できたのです」(渡邊氏)

渡邊氏によると、新型コロナウイルス感染症への対応策として病院にロボットを導入する事例が増えているという。「重症病床のフロアでは、医師や看護師は患者に近づくだけでも防護服の着用が求められ、その分負担が大きくなります。temiを使えばその負担を大幅に軽減して、患者とコミュニケーションを取ることができます」(渡邊氏)

医療現場での「PoC実施」をファイナンス面でサポートするSMFLレンタル

投資判断に貢献する、レンタルの「速さ」と「しなやかさ」

ロボットの導入に際し、ハードルとなるのが、コストに加え、効果検証に要する時間と手間だ。新商品のロボットの多くは、ユーザー側で購入を決めるまで、現場導入後の効果を検証するのに数カ月程度かかる。そこで、今ニーズが高まっているのが「レンタル」。数日~数週間単位の試験導入が可能なことから、適切な設備投資を判断するために、「まずはレンタルで効果検証を」といった提案でユーザーの要望に応える。「資産を所有する必要がないので、導入を検討する事業部にとっては単独で決裁できる予算内に収まり、スピーディーに次のステップに進めます」。SMFLレンタルで新規開発事業部長を務める大谷康二は、レンタルサービスの特長をこう説明する。

「効果検証についても、SMFLレンタルのエキスパートがサポートします。例えば、近年導入が進む『ローカル5G基地局レンタル』であれば、免許申請に係る複雑なプロセスや、無線ネットワークの設計・構築までの手続きをワンストップで完了できるのも、レンタルを利用する利点でしょう」(大谷)。費用面はもとより、手間や時間面の負担も最小限に抑え、実効を評価できる。さらに、保守・点検までカバーされるのも大きなメリット。仮に、機器に不具合が発生した場合にも、代替機がすぐに用意されるため、使用中断期間を最短化できる。

「モノを売るだけのビジネスとは違うのです」と、大谷の言葉に力がこもる。「製品が常に使用できる状態であることにコミットし、機材運用のノウハウも含めて、モノから始まる体験価値をデザインするのがレンタルの重要な役割です」(大谷)

SMFLレンタル 執行役員 新規開発事業部長
大谷 康二

渡邊氏も、パートナー企業としての立場から、こうしたレンタルのメリットを実感しているという。「ロボットの短期レンタルは、PoC(概念実証)の有効な手段として旺盛な引き合いを受けています。その対応として、まずはSMFLレンタルさんに1カ月単位のレンタルメニューを作ってもらい、お客さまに提案。それを2カ月、3カ月……と延長し、お客さまに効果をしっかり検証していただき、本格的な数年単位の長期レンタルへと移行する──そんなケースが多く見られます」(渡邊氏)

フレキシブルな対応や小回りがきくというレンタルの特性が、企業の事業開発や設備投資を後押ししているようだ。「ロボットやAI、IoTなどのデジタル技術はまさに日進月歩。それに伴い、技術の運用に関する法規制や行政指導もめまぐるしく変わります。そんな環境変化への即応が期待され『とりあえずレンタルですぐに欲しい』とのご要望をよく頂戴します。レンタルならではの “ 柔軟性 ” と “ 迅速性 ” がビジネスの武器になるわけです。弊社がスピード感をもってお客さまに対応できるのは、SMFLレンタルさんのメニューがあってこそです」(渡邊氏)

一方のSMFLレンタルにとっても、パートナー企業の存在は不可欠。現場のニーズに応える商材を取り揃え、全国のユーザーに提供するための架け橋だからだ。渡邊氏の言葉に応えて、大谷が言う。「私が率いる新規開発事業部は、その実、パートナー事業部といっても過言ではありません。『オフィスまるごと大塚商会』の方針の下、企業のさまざまな課題を解決する大塚商会さんのトータルなソリューション力と営業力、これに私どものレンタルサービスを組み合わせることで、より付加価値の高いサービスをご提供しています」(大谷)

「Tokyo Robot Base」をリニューアル。共創の場に

こうした需要の高まりを受け、SMFLレンタルは2021年9月、ロボットの展示施設「Tokyo Robot Base」(TRB)をリニューアルオープンした。

「展示スペースを従来比1.6倍の620m2に広げてラインアップを拡充。展示方法も、ユーザーフレンドリーを一層重視しました」。こう話すのは、SMFLレンタルの新規開発事業部の田中正泰──TRBのいわば館長だ。「これまでは主にロボットの機能紹介にとどまる施設でしたが、テーマを設けたソリューションの体験施設へと進化。導入後のイメージをユーザーがより実感しやすい場に生まれ変わりました。『temiによる館内案内』や『インタラクティブボードを使用したオンライン会議』など体験できるソリューションもさまざまです。SMFLグループが2021年度から本格展開している資産管理クラウドサービス『assetforce』についても紹介しています」(田中)

SMFLレンタル 新規開発事業部 部長代理
田中正泰

田中は「パートナー企業と共に発信する共創の場」としての役割を強調する。「新たに創設したイベントスペースを、パートナー企業に活用していただきます。新しいTRBは単なる展示場ではなく、パートナー企業と連携して、常に最新の情報をお客さまに発信する場。各種イベントを開催したり、オンラインで遠隔地のお客さまに実演を見ていただいたりすることも予定しています」(田中)

パートナー企業のビジネスマインドも、TRBのリニューアルに刺激されているようだ。渡邊氏はTRB活用のこんなアイデアを温めているという。「お客さまごと、あるいは利用シーンごとのシチュエーションを想定し、展示をフレキシブルに変えても面白いでしょう。たとえば病院ならばベッドを、倉庫ならば棚などの什器を並べてみる、ストーリー仕立てにして見せる、などです。そのほか、アクションカメラを使ってリアルなユーザー視点で商材を案内することも可能でしょう。Webカメラを複数台設置して、お客さまの操作で自在にカメラを切り替えるなどの試みも考えられます」(渡邊氏)

共創の舞台「Tokyo Robot Base(TRB)」

2021年9月にリニューアルした「Tokyo Robot Base」(TRB)。パーソナルロボットや物流ロボットなどビジネスのテーマに応じたソリューションの体験施設へと進化。パートナー企業と連携して、常に最新の情報を発信する場であり、各種イベントを開催予定

モノではなくコトから発信される情報が、インスピレーションの質を高める。それが共創への弾みにもなる。「TRBに展示中の追従運搬ロボット『THOUZER』(サウザー)に対して、病院の “ 処置台 ” と組み合わせて利用したいとの要望もあります。そのように、商材同士のマッチングによる新たなソリューションの発見の場としても、大きな可能性をTRBに感じます」(渡邊氏)

それでも現在のTRBはけっして完成形ではない。渡邊氏の期待を受けて田中も、「ユーザーへの提案のレベルは、今後さらに高めていきます。『来てよかった』と思っていただける場、そして新たなビジネスの起点となる場を目指します」と表情を引き締める。

大谷が、再び言葉に力を込めた。「お客さまのお困り事にソリューションを提供する拠点、それがTRBです。言うなればここは、『Rental as a Service』のショールーム。商材はビジネスのトレンドを的確にとらえ、常に新鮮さを確保する必要があります。その意味でも、パートナー企業とのリレーションが大切なのです」(大谷)

レンタル商材を実際に「見て」「触って」「体験して」得られる課題解決のヒント。さらに、偶然の出会いが共創へと発展する──レンタルサービスを通じてパートナー企業と共に社会に貢献するSMFLレンタルとTRBのこれからに期待したい。

※ 新型コロナウイルスをはじめとする感染症予防対策を取った上で、取材・撮影を実施しております。

(内容、肩書は2022年3月時点)

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