モノの査定能力、資源の有効活用でサーキュラーエコノミーの実現に貢献。
進化を続ける中古機械売買ビジネス

リース業界最新動向 Vol.25 中古機械売買編

モノの目利き力や3R(リデュース、リユース、リサイクル)へのダイレクトな貢献など、リース会社の強みを存分に生かせる事業が、中古機械売買ビジネス。中古機械を利用する顧客は、設備投資コストを抑制できるメリットがあり、サーキュラーエコノミー(循環型経済)の実現に貢献するという意味で社会的意義も大きい。高まる中古機械売買ビジネスの市場ニーズと三井住友ファイナンス&リース(SMFL)の取り組みについて、SMFLの理事 リマシーン営業部長の高田賢治に話を聞いた。

高まる、中古機械売買ビジネスへの期待。産業構造の変化に対応

「お客さまの経済活動に必要な機械や設備の導入をファイナンス面でサポートするため、リース会社は金融を介してモノを大量に扱ってきました。そうしたなか、リース満了物件の販売に始まった中古機械売買ビジネスは、セグメントごとにさまざまな発展を遂げており、現在では中古マーケットにおけるメインプレイヤーとしての顔も持っています」。こう話すのは、SMFLの理事 リマシーン営業部長の高田賢治だ。

「1970年代当初のリース産業黎明期は、リース物件の購入代金をはじめ、リース期間中の支払利息、固定資産税、保険料までおおむね全額をリース料としてお支払いいただくファイナンス・リース取引が主流でした。リース会社がリース契約の満了物件を第三者に販売して得られる収益はあくまで付随的なものでした。それでも中古物件の売買事例を積み重ねることで、リース会社は査定能力を向上させていきました」

理事 リマシーン営業部長
高田 賢治

そうしたなか、日本の経済発展や産業構造の変化を受け、リースマーケットでは大型の汎用コンピュータに始まり、航空機・船舶、半導体製造装置、医療機器などの分野で、機械や設備のリース期間満了時の価値(残価)に着目し、物件代金から残価を差し引いた部分のみをユーザーがリース料として支払うオペレーティング・リース取引のニーズが高まっていった。

「これらの分野でリース会社は、積極的な残価評価によりオペレーティング・リースの組成を下支えし、高まるユーザーの要求に多様なスキームを提供することで応えてきました。また、工作機械や建機、輸送機などの分野でも、物件を見極める力は当時から与信補完などで重要な役割を果たしています。現在ではリース会社の事業の柱の一つに育った中古機械売買ビジネスの礎は、リース産業の黎明期から培ってきた査定能力と積み上げてきた中古物件の売買実績にあります」

「非金融収益」と「新たな金融商品」を生み出し、多角化戦略を実現

2000年代に入ると、会計基準変更などの影響で、ファイナンス・リース取引の成長は鈍化し始める。一方、リース事業と密接につながる中古機械売買ビジネスは、非金融収益を稼ぎ、新たな金融商品を生み出す手段としてフォーカスされ、現在も多角化するリース会社の事業に貢献している。

「大手リース会社の中古物件を取り扱う部門の多くは、エンジニアなどの専門人材を育成し、発展しています。当社はメーカーや販売会社のパートナー企業と協働して、中古機械・設備のリファービッシュ(新品に準じた状態に整備)を実施し、当社が開発した中古売買の会員制サイト『assetforce market(アセットフォースマーケット)』などのデジタルツールを駆使して中古機械売買事業を展開しています。また、リース会社の機能は、メーカーや商社にとって旧製品の流通ルート確保につながり、結果として新品の販売促進に貢献する側面もあるため、両者がタイアップする動きも活発になってきました。今後は、これまで培ってきた物件に関するノウハウをサブスクリプション(定額課金)やシェアリングなど、新たなサービスを具現化するための基礎情報として活用することが期待されます」

SMFLも、リース契約の満了物件の販売を端緒に、中古機械売買ビジネスに参入し、現在では工作機械や半導体製造装置の中古売買で国内トップクラスの取扱実績を誇る。高田がその経緯を振り返る。

「1994年から半導体製造装置の中古売買事業を業界に先駆けて開始し、着実に取扱品目を拡大してきました。2008年からは工作機械の取り扱いを本格的にスタート。同時にWebサイト『RE-MACHINE(リマシーン)』においても中古機械・設備の買い取り・販売を開始しました。現在ではコンピュータ断層撮影装置(CT)や磁気共鳴画像装置(MRI)、超音波診断装置といった医療機器の中古物件も取り扱っており、2016年より毎年海外の医療機器展示会にブースを出展するなど、海外での販売ネットワークを広げています」

大手リース会社の中古機械売買ビジネスの最大の武器は豊富な資金力を背景とした “ 在庫力 ” だ。各社は大型倉庫を構え、中古業者の一角として膨大な中古物件を買い付けている。SMFLは2018年、関西地区最大規模(約1,200坪)の中古工作機械販売倉庫『リマシーン奈良天理ヤード』を奈良県天理市に開設。さらに2019年には国内最大規模(約3,300坪)の中古工作機械販売倉庫『リマシーン東日本ヤード』を埼玉県川島町に開設した。高田は「常時400点以上の在庫を保有し、Webサイト『RE-MACHINE』および会員制サイト『assetforce market』などを通じて、お客さまの幅広い『買いたい』『売りたい』というご要望に対応しています」と話す。

SMFLの3Rを加速する、パートナー企業との協働

廃棄予定の研削盤を新品同様に復元

30年経過した廃棄予定の研削盤をSMFLが買い取り、(株)岡本工作機械製作所/技研(株)がオーバーホールの上、新品同様に復元しました。

中古工作機械にメーカー保守・点検を付加し、リユース率を向上

SMFLが販売する中古のマシニングセンタに(株)牧野フライス製作所の保守・点検を付加し、リユース率が向上しました。

サーキュラーエコノミー実現のためにパートナー企業と協働

大量生産・大量消費・大量廃棄を前提とする現在の経済システムは、気候変動、資源枯渇、プラスチック汚染などさまざまな課題がある。資源投入量・消費量を抑えつつ、モノの価値を可能な限り長く維持し、廃棄物の発生を最小限化するサーキュラーエコノミーへのシフトが求められている。

設備投資コストを抑制できるメリットから拡大してきた中古マーケットだが、モノを長く使い続ける点で、サーキュラーエコノミーの実現に貢献する役割にも大きな注目が集まっている。高田は「SMFLはサーキュラーエコノミーの実現に向け、パートナー企業と協働し3R活動にも積極的に取り組んでいます」と話す。

「2019年には、戦略子会社のSMFLみらいパートナーズとリサイクル事業で先進的な取り組みを展開するアビヅがスクラムを組み、合弁企業『SMART』を設立し、設備・プラント処分元請事業に参入しました。直近では100メートルを超える煙突の解体工事や大観覧車の解体工事といった高所の解体工事の実績があり、解体工事によって生じる廃棄物の資源化にも取り組んでいます」

「モノの所有」から「モノの利用」という経済の大転換が進み、国内の設備投資環境も変化してきた。半導体製造装置や工作機械の分野では、新品で先端設備に投資するユーザーがいる一方で、中古を活用しながら設備更新を進めるユーザーも増えている。

「中古機械売買ビジネスの社会的意義は、今後ますます高まることでしょう。我々の強みである『モノへの知見・ノウハウ』と、メーカーや販売会社などのパートナー企業との協働で、新たな価値を生み出すサービスを具現化し、サーキュラーエコノミーの実現に貢献してまいります」と高田が話す。進化を続けるSMFLの中古機械売買ビジネスの今後に注目したい。

(内容、肩書は2023年10月時点)

設備・プラント一括処分サービスにおけるSMFLグループの出口戦略

SMFLグループの工場一括処分支援サービスを活用することで、コストダウンと同時に3Rによる循環型経済への貢献ができる

リマシーン営業部のご紹介

工作機械の買い取り手続きから搬出段取りまで、ワンストップで提供

SMFLのリマシーン東日本ヤード

SMFLのリマシーン営業部は、大規模な中古工作機械を中心とする大規模な倉庫を保有し、工場で使用している機械の更新や遊休設備など、不要になった工作機械や鍛圧機械の高価買い取りを実施しています。工場の閉鎖、移転、事業撤退などによる生産ラインや設備一式の買い取り実績も豊富なため、事務処理や搬出の段取りなど、煩雑な手続きもワンストップで担っています。

SMFLの中古機械買い取り・販売サイト 
「RE-MACHINE」

お問い合わせ

リマシーン営業部(東日本エリア) 
TEL:03-3515-1267
リマシーン営業部(西日本エリア) 
TEL:06-6282-3670

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