時間・空間の制約を解き、ハイブリッドな働き方を“ジザイ”に選択。個室が充実したサテライトオフィス
「働き方」を巡る数年来の地殻変動は、ハイブリッドワークへと収束しそうだ。「場を選べる」という個々人の満足度の向上、本社機能・保有資産の合理化(持たない経営)に伴う企業価値の向上など、ハイブリッドワークがもたらすポジティブなインパクトは数多い。そして組み合わせの有力な選択肢の1つが、サテライトオフィスの利活用である。そこで求められる大切な要件が、「個室」。ザイマックスとSMFLみらいパートナーズが共同事業として展開するサテライトオフィスサービス「ZXY(ジザイ)」は、施設の個室率が8割を超える。ZXYの戦略を、両社の担当者が語る。
両社の共創が実現した迅速な拠点展開。働き手に「新たな日常」を提供
近ごろ、ふとある種の感慨が湧くことがないだろうか。「働き方……すっかり変わった」と。毎朝オフィスに出勤し、自分の固定席に着いて始業、夜まで働き、満員電車で帰宅──そんな日々は一変。最大のきっかけは言うまでもなく新型コロナウイルス感染症のパンデミック(世界的大流行)だったが、それ以前から、「働き方改革」のかけ声や、東京オリンピック開催を控えてのリモートワーク普及キャンペーンなど、官民挙げての動きは始まっていた。
総合不動産サービスプロバイダーのザイマックスが、法人企業向け会員制サテライトオフィス「ZXY(ジザイ)」を立ち上げたのは2015年にさかのぼる。ワークスタイルの刷新が求められ、新たな需要が生まれた。同社ジザイワーク事業部 ジザイワーク推進部兼経営企画部の熊手優斗氏がこう語る。
ジザイワーク推進部兼経営企画部
熊手 優斗 氏
「当初は都心に展開し、営業担当の社員さんなどが商談の合間に利用する “ 便利な立ち寄り拠点 ” 、主にそういう使われ方がされていました。ところがその後のパンデミックが契機となり、通勤の負担を軽減するためのサテライトオフィス、在宅に代わる自宅近所のリモートワーク空間というニーズが一気に拡大したのです」
需要が供給を大きく超えた。絶好のビジネスチャンスであると同時に、それは人々の働き方を、そのライフスタイルを変革するチャレンジでもあった。供給拡大へ──直ちに拠点数を増やすべく、熊手氏たちザイマックスは動き出す。感染の第1波がほぼ収まった2020年初夏、ジザイワーク事業の拡充に向けスクラムを組もうと呼びかけた相手は、かねてより「マックスリアルティー」の共同経営でつながりがあった三井住友ファイナンス&リースの戦略子会社、SMFLみらいパートナーズであった。
顧みれば、第1波発生以来、「新たな日常」の模索はもう3年になろうとしている。この間に激変した働き方のありようは、私たちに何をもたらしたのだろう。リモートワーク、Web会議、サテライトオフィス──勤労形態の多様化は私たちのワークスタイルにパラダイムシフトを起こした。デジタルの力が物理的・時間的な制約から働き手たちを解放し、そのことが生産性やクリエイティビティを高める効果も、すでに多くの場面で実感されている。メインオフィスとリモートワークを併用する「ハイブリッドワーク」は今や日常の一部となっており、個人にとっても企業にとっても、自らの価値向上を加速させる要因の1つになったといえる。
拠点増設に向けてザイマックスとSMFLみらいパートナーズが矢継ぎ早の協議に乗り出したとき、両者の視野はこの来たるべきパラダイムシフトを的確に捉えていた。SMFLみらいパートナーズ 不動産本部 開発事業部の澁谷裕輔が振り返る。
不動産本部 開発事業部
澁谷 裕輔
「あの当時、弊社の不動産部門では “ Make a New Normal ” をコンセプトに新たな不動産事業ブランド『NEWNO』の立ち上げを進めている真っ最中でした。サテライトの拠点拡大を目指すザイマックスさんと私どもとの共創はまさに、オフィスワーカーに新たな日常を提示する試みです。この認識がわれわれの間ですぐに共有され、契約の締結そして共同事業の開始へと急展開する原動力になりました」
2020年12月、パートナーシップ契約を結んだ両社は一気
「会員ユーザーからは『いつでもどこでも、使いたいときそこにZXYがあることが大変便利でうれしい』との声が多く寄せられています。拠点数の多さに加え、施設の質の高さ、そしてそれが偏らず全国どこでも均質な点をご評価いただいています」(熊手氏)。ZXYは現在、首都圏都心部の主要駅
- ※1拠点数とは、フレキシブルオフィス事業者(直営のサテライトオフィス事業者含む)の拠点数のこと。
出典:主なフレキシブルオフィス事業者(直営のサテライトオフィス事業者含む)の全国拠点数調査による【CBRE調べ、2022年3月時点】
期待に応えた「個室」戦略。さらに「持たない経営」も企業に提案
一方、サテライトオフィスを利用する側の企業にはどんな思惑があるのだろうか。まず普及の動きをデータで確認しておこう。サテライトオフィスを導入する企業は、近年、着実に増加。ザイマックス不動産総合研究所が2022年秋に実施した調査※2では、回答した企業のうち約29%がサテライトオフィスをすでに導入している。10%程度だった2017年に比べ、導入率は5年間で約2.8倍に高まったことになる。
普及の背景にあるのは、企業側の期待感だ。リモートワークの場の選択肢にサテライトオフィスを加えることへの期待として、以下のような企業の読みが浮かび上がる。
- ➀リモートワークが可能なことは、今や、学生が就職先企業を選ぶ条件の1つになっている
- ➁リモートワークの推進に積極的な企業であることは、優れた人材の採用に直結し、競争力の強化・企業価値の向上に寄与する
- ➂リモートワークの場として、自宅以外にサテライトオフィスを選べることに伴う利便性は極めて高い
- ➃場を選択できるハイブリッドワークは、従業員の満足度にもつながる
- ➄ハイブリッドワークは、従業員のライフステージの変化に伴う離職の防止にも役立つ
- ➅➀~➄に挙げた要素を総合し、企業経営へのポジティブな影響が期待できる
こうした期待に応えながらZXYは、会員企業約3,300社、会員ユーザー約53万人(2023年1月時点)という業界最大級のサービス網へと成長した。
さらにZXYには、もう1つ別の強みがある。「個室の多さ」だ。今やWeb会議は日常のひとコマ。打ち合わせでもブレストでも、周囲の環境に制約されず発言でき、情報セキュリティも確保しやすい「個室」は、Web会議やリモートワークの最適解といえる。もちろん、その空間的特性は、個人の、ひいては企業の生産性向上にも寄与する。現場に精通する熊手氏の言葉がそれを裏付ける。
「個室の利点は多々あります。遮音できること、他人にPC画面や書類をのぞかれないこと、それらの安心感が集中度を高めること。そんな個室ワークスペースへのニーズの高さは、稼働状況を見ても明らかで、個室中心の拠点づくりをZXYの基本方針に切り替えました」
澁谷も「個室率を高める方針に
もう1つ、忘れてはならないのが「リモートワーク化の推進に伴うコスト負担」の問題だ。そもそもサテライトオフィスの利活用自体が、自宅などに比べ、リモートワーク導入に伴い発生する諸経費を抑える経営判断の一策ではある。とはいえ、それでも利用料の発生などを懸念する向きはある。だが、ZXYにはそのソリューションが用意されている。
熊手氏が語る。「ZXYは利用時間の長さに応じた従量課金制。利用料というコストは確かに発生します。ですが、そのコストはメインオフィスの適正化・効率化と併せて考えれば回収できるケースが少なくありません。私たちはZXYという商品サービスだけではなく、会員企業さまの働き方・働く場の在り方のコンサルティングと併せて提供しています」
つまり、サテライトオフィスの利活用を前提に、今ある本社ビルなどの不動産・有形資産の保有の在り方を見直し、「持たない経営」を含め、改めて今後の事業活動に最適な資産構成を探ってみませんか、という提案である。これこそは、ザイマックスとSMFLみらいパートナーズの両社が組んだタッグチームならではの真骨頂といえるだろう。
他社を上回る拠点数と高い個室率。加えて、使い勝手のよいユーザーエクスペリエンスと、労務管理の懸念
たゆまぬ探訪精神で未来のユーザーニーズをキャッチ。新たなる挑戦へ
「働き方の変革と多様化」という他に代えがたい価値を社会に提供し、同時に、「不動産・有形資産の最適化」を企業に提案するZXY。SMFLみらいパートナーズとザイマックスが見据える「この先」とは何か。
ザイマックスの熊手氏が、今後の展望と意気込みをこう話す。「毎日出勤に回帰する会社も、フルリモートに完全シフトする企業も、これからの世の中ではおそらく少数派でしょう。ハイブリッドワークは社会に定着すると見ています。とはいえ、昨今の世の中の変化は大きく、今後われわれが予想だにしない変化が起こることも十分にあり得ます。大切なのはユーザーの声を聴き、ニーズの変化をいち早く察し、それに合わせてサービスや事業を見直し続けることです。私たちはユーザーに特に近い立ち位置。その自覚を持って今後の事業に取り組みたい」
一方のSMFLみらいパートナーズ。共同事業化を通じ、“ 金融を超えた価値 ” をザイマックスに供与した。澁谷は次のように事業を
SMFLみらいパートナーズとザイマックスが共同運営するZXYには、「ZXY partner with NEWNO」のロゴが掲げられている。パートナーとして信頼し合う両社の挑戦が、「この先」も続く。
- ※新型コロナウイルスをはじめとする感染症予防対策を取った上で取材・撮影を実施しております。
(内容、肩書は2023年2月時点)
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SMFLみらいパートナーズ株式会社
不動産本部 開発事業部
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