調整局面を迎えた不動産市場。リースで企業のCRE戦略を支援

近年、上昇トレンドが続いてきた不動産市場はコロナ禍で一変した。コロナ禍で不透明感が増した不動産市場は、今後どうなるのか。事業会社からデベロッパー、不動産ファンド運営会社まで幅広い不動産ニーズに応えるSMFLグループの1社、SMFLみらいパートナーズ株式会社の代表取締役社長 寺田達朗に聞いた。

テクノロジー活用やSDGs経営により、不動産の “ 価値 ” が変化

「コロナ禍により、不動産市場も影響を受けました。影響度の高さをアセットタイプ別に見ると、ホテル、商業施設、オフィス、物流施設、賃貸住宅の順となり、それぞれリスクの濃淡と回復に至る時間軸を注視する必要があります」。そう語るのは、SMFLみらいパートナーズ株式会社の代表取締役社長 寺田達朗だ。

SMFLみらいパートナーズ株式会社 代表取締役社長
寺田達朗

「賃料や販売価格が下落し、市場は調整局面に入り、外的要因による影響が具体的に出るまでに1年程度かかる見込みです。とはいえ、日銀による金融緩和の維持や銀行の貸し出し継続といった現状と、外資系企業などを中心とした、海外からの投資意欲の底堅さを踏まえると、下落圧力は限定的だと見られます」

一方、テナントである企業側では、「テクノロジー活用」「働き方改革」「拠点分散」の動きが加速し、市場に大きな影響をもたらすことが確実視されている。

「最大の不動産セクターであるオフィスは、テレワークの浸透で在り方が問われています。加えて、長期的な視点で見ると『SDGsを意識した経営』がこれまで以上に重要になり、環境への配慮やBCP(事業継続計画)対応をはじめ、社員の健康維持や快適性といった価値が求められるでしょう」

「ブリッジリース」や「CRE」の戦略的活用がカギ

2020年4~6月期は、コロナ禍によって売買取引そのものが停滞したが、同年7月以降は徐々に動きが表れてきた。その背景を寺田は次のように説明する。

「一つ目に、2019年度に引き続きREIT(不動産投資信託)向けのブリッジリース※1のニーズが高いことが挙げられます。不動産投資法人やファンドの代わりに、我々リース会社が一時的に不動産を取得することにより、新規株式公開(IPO)や公募・売出(PO)のタイミングに合わせて取得時期を調整できます。また、ターゲットとするキャップレート(還元利回り)水準まで償却を進めた上で譲渡するなど、価格調整機能も担っています」

「二つ目は、ウィズコロナ、アフターコロナに備えて企業側の手元資金を確保するため、資産の流動化や第三者への売却などを行う、CRE(企業不動産)の戦略的かつ効率的な活用についての相談です。先行きが見通せない中、こうした対策を検討する動きはさらに広がります」

  • ※1メザニンローンとエクイティ出資を含む

SMFLみらいパートナーズのREITブリッジリースのスキーム

SMFLグループではREIT向けのブリッジリース事業を拡大。売主の「早く売却したい」、買主の「将来的な購入のため物件を確保したい」といった多様なニーズに応えている

ファイナンスの先へ。リース会社が不動産開発・運営を担う

転換点を迎えた市場に対し、不動産リースは今後どのような役割を担うのか。

「不動産リースは、ファイナンスを提供するという従来の機能に加え、賃貸・開発、さらに運営など、これまで以上に不動産事業へ深く入り込む動きが進むでしょう。一方で、不動産事業の強化・拡大は『賃料下落』や『空室リスク』など、複雑なリスクを負うことにもつながります。さらに修繕などによる建物や設備のバリューアップに取り組むことも重要になります。

そのために、組織の対応力を強化し、高度な専門性が求められる部分を補うには、パートナーとの協業・提携が必要」

こう話す寺田は、「M&A(合併・買収)も積極的に活用すべき戦略の一つ」と分析する。

「同時に、オフィスでは、脱炭素を促進する省エネ設備や再生可能エネルギー設備など付加価値を生む環境機器、また物流では倉庫内での作業効率化に役立つ自動化設備を導入する動きが一段と加速すると見られます。リース会社にとっては、設備・機器のリースやレンタル、これらに付随するサービスの提供は、不動産リースの関連分野で、大きなビジネスチャンスです」

20年以上の実績を礎に、不動産事業を先導

不動産市場において、20年以上の実績を有する三井住友ファイナンス&リース(SMFL)は、2018年にSMFLみらいパートナーズを設立し、事業領域をさらに拡大させた。不動産流動化やREITブリッジ、開発型不動産リースの提供や不動産の共同開発・賃貸、自社開発・賃貸事業など多彩なソリューションを提供し、事業会社からデベロッパー、不動産ファンド運営会社まで幅広いニーズに応えている。

「20年12月には、株式会社ザイマックスのサテライトオフィス事業『ZXY(ジザイ)』に事業パートナーとして参画しました。リモートワークの浸透で高まる最適なワークプレイスへの期待や、働き方改革への要請に貢献します。21年4月時点の拠点数は139ですが、首都圏の都心部・郊外を中心に300拠点に拡大していく予定です」(寺田)

卓越した不動産市場への眼差しは、画一的な契約条件や鑑定評価にいたずらに依存しない独自のバリュー目線を前提とする。2021年3月末時点の資産残高は約10,500億円、保有物件数は568件、テナント数233件※2と実績も有している。

「21年1月には、不動産アセットマネジメント会社として国内トップクラスの規模を持つケネディクス株式会社を連結子会社化しました。不動産を所有することで新しい価値を創出するSMFLグループが、持たざる経営のケネディクスを仲間に迎え入れることで生まれる相乗効果に期待が寄せられています」(寺田)

コロナ禍による停滞期を経て、再びの上昇局面へ向けて。社会の公器である不動産市場をけん引するSMFLグループの動向に注目だ。

  • ※2三井住友ファイナンス&リースの保有分を含む。ノンリコースローン・エクイティ出資を除く

(内容、肩書は2021年5月時点)

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