電力の100%カーボンニュートラルをいかに達成したか?──高度化する脱炭素ニーズに応える、SMFLグループの「新たな再エネ導入のカタチ」

2020年10月、国は「2050年カーボンニュートラル」を宣言し、脱炭素社会の実現を国家目標として掲げた。国内外から高い評価が寄せられた一方で、すでに数々の省エネ施策に取り組んできた国内企業の間では、「これ以上、何をすればよいのか?」と高すぎる目標に戸惑いの声も聞こえてくる。そんな “ 国策と現実のギャップ ” の渦中にある企業に向けて、“ 目からウロコ ” の脱炭素ソリューションを提供しているのが、三井住友ファイナンス&リース(SMFL)グループのSMFLみらいパートナーズだ。PPAやカーボンフリー電力との組み合わせによって、電力の「100%カーボンニュートラルの達成」を後押しする “ 新たな再エネ導入のカタチ ” に迫る。

喫緊の課題は、工場のCO2削減

政府の脱炭素宣言を受けて、帝国データバンクが2020年12月に全国の企業を対象に実施したアンケート調査によると、「2050年カーボンニュートラル」の目標を「達成できない」または「達成は困難」と回答した企業は、合計61.3%。過半数の企業が懐疑的だという実態が明らかになった。

住友林業クレスト 理事 製造本部 鹿島工場長
島田英哉氏

だが、そんな実態をよそに、他社に先駆けて自社工場の使用電力の脱炭素化を早くも実現してしまったメーカーがある。住友林業クレストである。住友林業グループの一翼として木質建材の製造を担う同社は、2021年4月1日、鹿島工場における電力のカーボンニュートラルを達成。その切り札になったのが、SMFLみらいパートナーズが提案した、「PPA」(Power Purchase Agreement=自家消費型太陽光発電の第三者所有による電力購入契約)モデルと、カーボンフリー電力の導入だ。まずはその背景について、住友林業クレスト 理事 製造本部 鹿島工場長の島田英哉氏に聞いてみよう。

「私たち住友林業グループでは、グループ全体の重要課題として、『2030年の温室効果ガス排出量を2017年比21%減とする』という目標を掲げています。これにより、パリ協定の実現を目指して企業が設定する「SBT」(Science Based Targets=産業革命前からの気温上昇を2℃未満にするための、科学と整合した温室効果ガス削減目標設定)参画企業として、2018年に国際機関からの認定を受けています」

さらに2020年3月には、事業で使用する電力を100%再生可能エネルギーでまかなうことを目指す国際的イニシアティブ「RE100」にも加盟。グループを挙げたこうした取り組みのもと、住友林業の100%子会社である住友林業クレストも、カーボンニュートラルに向けた計画を模索・実施してきたのだった。島田氏が続ける。

「当社は木質内装材のメーカーです。木は、大気中のCO2を吸収・固定し、しかも植林サイクルで再生が可能な環境親和性の高い素材。国も、環境・林業政策として公共建築物等木材利用促進法を制定するなど、利用拡大を推し進めています。国内に4拠点ある私どもの工場を再生可能エネルギーでまかなえば、木材の活用に貢献しながら、一歩進んだよりサステナブルなモノづくりを実践できます」

地球環境の保全にも政策の推進にも自らの社業が寄与しているという自負。それだけに、住友林業グループの一員としての責任感を同社のリーダーたちは背負っていた。「工場でのCO2削減が喫緊の課題でした。住友林業グループ全体が排出する温室効果ガスのうち、約30%は製造工場からのものだったからです。再エネ化とCO2削減にどう取り組んでいくかを社内で検討していた折、4拠点の1つ、鹿島工場の施設を一部建て替えることになり、そこで、屋根にソーラーパネルを積載してみるのはどうか、という話が持ち上がったのです」(島田氏)

ところが、直面したのはいくつものハードル。太陽光発電設備を自前で整えるのは、容易なことではなかった。

※ 公共建築物等における木材の利用の促進に関する法律。2010年10月1日施行

欲しいのは、“ 設備 ” ではなく “ CO2削減効果 ”

住友林業クレスト 製造本部 鹿島工場 管理部長
石原英晴氏

「まずネックになったのは、初期投資のコストでした」と話すのは、住友林業クレスト 製造本部 鹿島工場 管理部長の石原英晴氏。検討段階で浮上した障害の数々を指摘する。「導入費用だけではありません。設備を保有すれば、人員を割いてメンテナンスすることになる。その手間と人件費。加えて、臨海部に立地する鹿島工場では塩害も懸念されるため、本当に自力で稼働させて運用できるのかという懸念もありました」

コストと発電量の見積もりを数社から取ったものの、いずれも費用対効果に不満が残った。導入への勢いが削がれるなか、SMFLみらいパートナーズから提案されたのが、PPA(第三者所有による電力購入契約)モデルだった。提案を行った、環境エネルギー本部 エネルギーサービス部 スペシャリストの村上貴彦は、その仕組みをこう説明する。

「PPAモデルとは、太陽光発電設備を当社がお客さまの建物の屋根に無償で設置し、発電した電力のうち、お使いになった分だけを買い取っていただく、というビジネスモデルです」。つまり顧客にとっては、導入に伴うイニシャルコストが不要、というわけだ。「発電設備は当社(SMFLみらいパートナーズ)が所有します。したがって、管理やメンテナンスも当社が行います。お客さまには、初期投資はもちろん、保守の手間も一切かかりません。契約期間の20年間にはパワーコンディショナなどの機器交換費用が発生しますが、それも当社が負担します。運用に関する懸念や不安も解消できると思います」(村上)

SMFLみらいパートナーズ
エネルギーサービス部 スペシャリスト
村上貴彦

顧客企業はこれまでと何も変わらぬ使い方で再生可能エネルギーを利用でき、一方のSMFLみらいパートナーズは電力使用料を得られるという仕組みだ。

この提案に、石原氏は思わず膝を打ったという。「村上さんからのご提案資料に、《欲しいのは「設備」ではない。「CO2削減効果」と「省コスト効果」》と謳われていました。まさにそれこそ、当社が求めていたソリューションだったのです」。懸念の1つだった発電量に関しても、実績豊富なEPC(設計・調達・建設工事)会社とのネットワークをSMFLみらいパートナーズが有していたことで、2割~3割増やせる見通しが立った。

新工場が完成したのが、2020年5月。9月には約1,500枚の太陽光発電パネルが、鹿島灘から昇る明るい陽光を受け、発電を開始した。出力は623.7㎾。見込まれる発電量は年間約549MWh。同工場の年間電気使用量に占める割合の約20%をまかなう。期待できる年間CO2削減量は約260tで、これは同社全体の排出量の約20%だ。

ただしそれでも、“ ニュートラル ” (CO2排出量差し引きゼロ)には、道半ばである。グループ全体でのカーボンニュートラルの実現に向けて、島田氏らがさらなる策を練っていたタイミングで、村上から声がかかった。「次のステップに、そろそろ進んでみませんか」と。

住友林業クレスト鹿島工場さまのPPA導入効果

モジュール容量 623.7㎾
年間想定発電量 約549MWh
年間電気使用量に占める割合 約20%
CO2排出削減量 約260t
2020年9月のPPA(自家消費型太陽光発電の第三者所有による電力購入契約)の導入に加えて、2021年4月にカーボンフリー電力の供給が開始されたことにより、カーボンニュートラルを達成。海岸沿いの立地のため、設置する太陽光パネルには塩害対策も必須。1,540枚のパネルから年間約549MWhもの発電量を期待できる

電力の100%カーボンニュートラルを達成したスキーム

工場の再エネ100%化を達成。「われわれにはメリットしかない」

CO2削減の効果を高めるにはプロセスが大切、と村上は説く。「まずは省エネ。住友林業クレストさまの場合、LED化や高効率機器への入れ替えなど、省エネに努めてこられました。次のステップは再エネ設備の導入によるCO2排出抑制で、今回のPPAモデルがそれです。これらのステップを踏んだうえで次に行うべきことが、設備で再エネ化しきれなかった買電分を、化石由来の電力からカーボンフリー電力に切り替えるという選択です」

SMFLみらいパートナーズが提供するソリューションは、PPAモデルだけではない。複数の新電力会社の代理店でもあることから、PPAモデルと新電力への切り替えをセットにし、トータルで100%再エネ化への道筋を提案できる強みがあるのだ。村上は数社から見積もりを取り、従来の電気料金よりコストを抑えてカーボンフリー電力に切り替えられるプランを提案。それが採用された。

石原氏は言う。「結局、手間もコストもかけず、100%、使用電力のカーボンニュートラルを実現できたのです。われわれにとっては、メリットしかありませんでした」

島田氏が続ける。「木材を扱う当社がカーボンニュートラルな製造にシフトした。これで非常に発信力が高まりました。この点は、これから重みを増すはずです。今後は社用車やフォークリフトの電化も進め、いずれは他の工場にも電力のカーボンフリー化を展開していきます。SMFLみらいパートナーズさんにご協力いただき、果敢に進めたい」

両人の言葉に、村上も深くうなずいた。「脱炭素に向けた新技術は、これからもどんどん登場するでしょう。それらを取り入れながら、これからもお客さまに合った最適なご提案をしていきます」

脱炭素社会の実現に向け、さらなるソリューションをもって未来を築くSMFLグループに期待したい。

新たな再エネ導入のカタチ。CO2はこうして削減する

新たな再エネ導入のステップの図
CO2削減対策として、「省エネ」だけでは不十分。省エネ設備への更新後に、廃熱回収(ヒートポンプ・コージェネレーション) などの省エネ改善や再生可能エネルギー(発電・熱)の導入、カーボンフリー電力への切り替えなどの「新たな再エネ導入のカタチ」が欠かせない。脱炭素の実現に向けて、SMFLグループでは多彩な脱炭素ソリューションで顧客を支援している

※新型コロナウイルスをはじめとする感染症予防対策を取ったうえで取材を実施しております。

(内容、肩書は2021年9月時点)

お問い合わせ

SMFLみらいパートナーズ株式会社
エネルギーサービス部 
TEL:03-6695-8230