デジタル化で需要が高まる半導体市場。オペレーティングリースと中古売買を軸にしたSMFLのワンストップサービス

リース業界最新動向 Vol.7 半導体製造装置編

半導体市場が、旺盛な需要に沸いている。デジタル技術の進展を背景に、コロナ禍においても企業は堅調な設備投資を続け、需給は逼迫。価格上昇が続くのに伴い、中古市場も活況を呈している。この傾向は続くのか。約30年もの間、半導体製造装置のリース・ファイナンス、中古半導体製造装置の売買(BUY & SELL)、技術サービス (REFURBISH/リファービッシュ)を提供し続け、業界に精通する三井住友ファイナンス&リース(SMFL)が市場を概観する。

半導体製造装置、過去最高の売り上げを記録

専務執行役員 西河 哲也

高速通信規格「5G」の普及や自動運転の実現に欠かせないセンサー類の製造、新規投資が好調であるデータセンター向けなど、IT、デジタル産業拡大のけん引役である半導体市場が活況だ。

2020年12月末、国際半導体製造装置材料協会(SEMI)は、2020年半導体製造装置(新品)販売額が前年比16%増の689億ドル(約7兆2000億円)と過去最高を記録したと発表。主要メーカーで構成する業界団体・世界半導体市場統計(WSTS)も2021年の半導体市場規模を前年比8.4%増の4694億ドル(約48兆円)と予測する。

旺盛な需要が続く半導体市場の今後について、三井住友ファイナンス&リース(SMFL)の専務執行役員・西河哲也は「過去70年間の歴史を上回る成長が確実に持続する」と説明する。

統合型から分業型生産へ。オペレーティングリースも活用

1993年に当時の住商リースが日本で初めて半導体製造装置のオペレーティングリースを開発するなど、SMFLは半導体市場の成長性をいち早く捉えてきた。現在は、電子デバイス設備部が半導体製造装置のリース・ファイナンスを手掛けるほか、中古半導体製造装置の売買、導入に必要な各種技術サービスを提供している。

西河は、国内の半導体装置リースの歴史を次のように語る。

「日本の半導体産業がリースを本格的に活用し始めたのは90年代半ばからです。当時は、多くの日系半導体メーカーが売上高ランキングで世界トップ10に名を連ね、そのほとんどがIDMと呼ばれる、自社で工場を所有して設計から製造、販売に至るまでのプロセスを全て1社で統合した『垂直統合型』のビジネスモデルが主流でした」

「その後、特にアジアにおいて、開発、設計工程、生産前工程、後工程をそれぞれ分離し、生産に特化するメーカーが力を有する『水平分業型』が台頭してきました。結果的に出遅れた多くの日系半導体メーカーは、海外勢との価格競争を強いられることになり、同時に、回路線幅の微細化や半導体の基板となるウエハーの大口径化などが急速に進んだことを受けて、半導体製造装置の設備投資額が大きく膨らむことになったのです」

そこで広まったのが、その当時、会計基準上でオフバランス効果を享受できるオペレーティングリースの活用だ。

「オペレーティングリースでは、半導体製造装置の持つリース期間満了時点の価値(残存価値)に着目し、物件代金からその価値を差し引いた部分だけをリース料として請求します。将来の物件価値(残価)のリスクはリース会社が負担するので、リース料を大幅に低減できます」

加えて、半導体産業は約4年間で好不況の波を繰り返す「シリコンサイクル」も存在したため、「リースに切り替えることは価格変動リスクを避ける手法としても有効」だったと振り返る。

遊休装置を活用。中古売買を強化

半導体業界は、微細化を中心とする先端技術メーカーから単純な電子部品メーカーまでピラミッド構造にあるため、装置を二次利用・三次利用する市場が見込める。資金力のあるリース会社は遊休装置を買い取り、グローバルネットワークを活用して売却するという、中古売買機能を強化する事例も現れた。

SMFLは国内(藤沢)と韓国に自社倉庫を有するほか、日本最大級の「中古半導体製造装置情報」Webサイトを運営し、国内外の中古売買を支援。国内トップクラスの取引実績のもと、顧客から高い評価を得ているという。

「中古売買事業の視点では、リースは『仕入れ』の一手法として見ることができます。当社は、ただ売買を仲介するだけではなく、リースを営むことで得た『モノ・装置』への知見をベースに、中古設備導入の際に必要な各種技術サービス(立ち下げ・移設・立ち上げ・オーバーホールなど)についても、専門のエンジニアと、パートナーを組むメーカーや技術会社のエンジニアで支援する体制を整えています」

SMFLの「中古半導体製造装置情報」Webサイト(会員制)

グローバル展開力とダイバーシティ

SMFLの電子デバイス設備部では、半導体業界に精通した、多様性に富むスタッフが在籍。韓国、台湾、中国など多岐にわたるマーケットを日々ウォッチしている

デジタル社会が進む中、半導体業界は需要サイクルが従来よりも長く続く「スーパーサイクル」に入ったとの向きが強い。半導体メーカーの設備投資額は米国、韓国、台湾のトップ3社が過半数を占めており、中国も国策として半導体産業の育成を急いでいるところだ。

「一方、日系半導体メーカーの主軸は、データ保存に使うNAND型のフラッシュメモリーや、CMOS(相補性金属酸化膜半導体)イメージセンサーなど製品別に得意領域を持つビジネスモデルに移り、旧世代の装置は売却する流れが続いています」

「また台湾では、テスト工程に導入する装置には需給の波に対応するためオペレーティングリースが活用されています。リースを中心とするファイナンス機能と中古売買事業を兼ね備えている当社の優位性を生かしやすい環境に入ったと見ています」

グローバルでのいっそうの活躍が見込まれるSMFL。旺盛なニーズに応えるかのように、半導体装置リース・中古装置売買を担う電子デバイス設備部には、多様性に富んだ人材が集い、ダイバーシティが実現。韓国、台湾、中国など多岐にわたるマーケットをウォッチし、世界を代表するマイクロエレクトロニクス製造サプライチェーンの国際展示会「SEMICON Japan」にも20年以上出展を続けるなど、精力的にマーケットを拡大している。

これからもSMFLは、半導体製造装置のリース・ファイナンス、中古半導体製造装置売買(BUY & SELL)、技術サービス (REFURBISH/リファービッシュ)の提供を通じ、技術革新を目指す企業にとって必要不可欠な存在であり続ける。

(内容、肩書は2021年4月時点)

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