社員一人ひとりが役割を果たし成長を続けるため、 SMFLを伴走者に選んだホンダロックの思い

ホンダロック(宮崎県宮崎市)は、本田技研工業創業者の故・本田宗一郎氏が1962年に設立した自動車部品メーカーだ。自動車・二輪車から農機や住宅関連まで、さまざまな部門のセーフティ&セキュリティ、エントリーに関する高機能・高品質の製品開発に携わる。同社は今、三井住友ファイナンス&リース(SMFL)が提供する経営支援プログラム「More Than Finance®」を採用し、従業員のエンゲージメント向上に取り組んでいる。同社はこの経営支援プログラムをどのように人材育成に役立てているのか。ホンダロック代表取締役社長の髙橋登氏に、SMFL南九州営業部長の福本泰典が聞いた。

新たな “ ホンダロックブランド ” の確立に向けた「人づくり」の布石

ホンダロックを創業した本田宗一郎氏には、宮崎の地で「近代工業を興し、地域の発展に貢献したい」という設立の思いがあったという。地方に本社を置く企業でありながら、創業当初から世界進出を視野に入れたグローバル展開を重ね、現在は国内・海外合わせて8カ国21拠点で事業を展開している。

ホンダロックが2017年に策定した中長期構想が「2030年ビジョン」だ。“ 2030年の自社はこうありたい ” という姿を「確かなものづくりとOnly One技術により未来への懸け橋をカタチにする 世界のお客さまに選ばれる企業へ」と明示。その実現に向けて、従業員一人ひとりが主体的に仕事を進め、競合他社に負けないスキルを磨き、新たな価値を生み出していく──このような現場づくりから「ホンダロックチーム」としての成長を目指す。合い言葉は「Promote challenge(より挑戦的に・行動的に)Be creative(より創造的に・独創的に)Show confidence(より信念をもって貫く)」だ。

本田技研工業の米国現地法人で製造部門の担当副社長を長く務めた髙橋登氏が、日本に帰国し、ホンダロックの代表取締役社長に就任したのは2018年のこと。就任するや、早速「2030年ビジョン」の具体化に着手した。

株式会社ホンダロック 代表取締役社長
髙橋 登 氏

「2030年に向け、まず3つの成長戦略を経営の軸に据えました。①高効率生産、②技術戦略、③人事戦略、です。高効率生産で “ 今日の利益 ” をしっかり確保し、技術戦略で “ 明日の利益 ” を生むための製品やサービスを創出する。そして、この2つを支える “ 企業風土 ” として人材を育てる。これこそが成長の鍵だと考えています」(髙橋氏)

米国での経験が長かった髙橋氏には、実は苦い思い出がある。「まだ若かったころのことです。ほかの米国人スタッフとともに早朝から深夜までプロジェクトに取り組み、充実感を持って働いていました。結果、プロジェクトは成功裏に終わりました。ところがその後、仲間の社員たちが1人欠け、2人消え、と次々に転職していったのです。事情を聞くと、どうやら仕事が忙しすぎたことが原因で、家庭や生活に深刻な支障が生じていたというのです」(髙橋氏)。仲間たちの人知れぬ苦境を垣間見た髙橋氏は、スタッフ一人ひとりの事情に目配りしながらプロジェクトを動かしていくことの大切さを痛感した。「企業にとって人は財産。社員それぞれが能力を発揮し、自律的に事業を動かすようにならなければ、将来の成長も持続可能性も危うくなります」(髙橋氏)

だからこそ、髙橋氏は社長に就任後すぐに社員との対話を積極的に重ねた。「入社の動機やこれまでの経験、趣味、仕事やプライベートでやってみたいことなどの話題から、個人の魅力はもちろん、なかなか見えにくい現場の本質も感じ取ろうと努めました。創業からずっと大切にしてきた《人間尊重》《喜びの創造》の企業哲学を実践して、成長の鍵である人材の育成につなげるためです」(髙橋氏)

しかし、その中で重大な課題も感じ取ったと髙橋氏は打ち明ける。「どの社員も個人的な能力は高い。求められていることはきちんと実現できる。しかしその一方で、会社の将来像が見えていなかったり、自ら提案する意欲が欠けていたり──これは大きな問題でした。『2030年ビジョン』の目標は、《革新を通じて新たな “ ホンダロックブランド ” を確立する》ことです。人的資本の強化に関わるこの問題を放置していては、ビジョンの達成は到底できないと考えたのです」(髙橋氏)

SMFL 南九州営業部長
福本 泰典

一方、SMFLではこの当時、南九州営業部がすでにホンダロックとの取引関係を持ち、連携チャネルをさらに充実させて両社間の絆を深めたいと考えていた。同営業部の部長・福本泰典が振り返る。「ホンダロックさんの成長をサポートするために、SMFLにできることは何か、あらゆる面から検討しました」(福本)

企業経営において、人材を付加価値を生み出す資本として捉え、投資していくことで企業価値の向上につなげる「人的資本」という考え方が重要性を増して久しい。しかし日本の企業は一般的に、入社後の従業員に対する人的投資の面で弱腰となっている例が少なくない。「長期的・継続的成長の可否を問うESG投資が強く意識される昨今、多くの機関投資家も投資先の人的資本への取り組みを厳しく見つめています。もちろん当社も、取引先とのパートナーシップ強化戦略として重要視しています」(福本)

福本が鍵になると思ったのは、やはり髙橋氏が考えたとおり、人材の育成である。「ホンダロックさんが進めようとされている、従業員一人ひとりの主体性・積極性をさらに開発・強化する取り組みに貢献することでした。そこで、当社の経営支援プログラムのラインアップから最適なメニューを検討した結果、社員のエンゲージメントを高めることを目的とするプログラムの存在に思い至り、提案してみようと決めたのです」(福本)

ファイナンス企業としてのSMFLが持つ、経営支援の奥の手である。すでにソリューションは、用意されていた。「リーダーシップ」「改革」「成長」「チームワーク」の強化を図る、テーラーメイド型の経営支援プログラム「More Than Finance®(以下:MTF)」だ。

SMFLは「More Than Finance®」を通して「人的資本」の強化を促す

参考:国際統合報告評議会〈IIRC〉『国際統合報告フレームワーク日本語訳』

社員が自律的に能力を発揮する企業へ

MTFの特徴を、SMFLの福本はこう説明する。「企業の成長に不可欠なのは、従業員一人ひとりのエンゲージメントを高め、それぞれが役割を果たしていくこと。このマインドを養成するためにMTF推進部では、講師による講義形式のセミナーではなく、参加者各自が自分の中にある答えを見つけるためのセッションを提供します。社員一人ひとりがファシリテーションスキルを高めながら、自発的に会社の事業計画を実施していくことこそが、本来のエンゲージメントだからです」

MTFを提案された際、髙橋氏もこの考え方に「まさに求めていた会社の姿だ」と納得したという。「我々経営者には、事業を通じて実現したい理念があります。ですが、そのために足りない部分を補おうと理屈だけで社員を追い込んでも、技術革新は生まれません。肝心なのは、『まずは試しにやってみようじゃないか』というおおらかな度量で組織を包むこと。それが欠けると、社員の意欲は萎縮しがちになってしまいます」(髙橋氏)。

また、企業として新たな方向に舵(かじ)を切るべく設備投資を企図しても、株主を十分に納得させられなければ投資はできない。かといって、説得を避けて手をこまねいていると、企業としての活力が削がれてしまう。このジレンマを抜ける突破口こそ、自社の「成長戦略」を高く掲げることだ。成長の先にどのような姿があるのかを提示し、それを社員と共有し、言葉や行動によってほかのステークホルダーに広く伝え、共感を得ることが経営者には求められる。

自社のあるべき姿を「2030年ビジョン」として明文化し、それが個人のキャリア形成にどう還元されるのかを伝えていく。それを担う人材基盤をつくるため、ホンダロックはMTFを採用し、人材戦略の伴走者の役割をSMFLに託したのだ。

SMFLの経営支援プログラム「More Than Finance®」の一例

MTFで「ビジョン」の実現を目指す

髙橋氏は言う。「SMFLさんは人事コンサルティング会社ではありません。しかし、GE(ゼネラル・エレクトリック)の企業経営を受け継ぐ日本GE(現・GEジャパン)と統合し、自分たちの実践事例や失敗例も含めた体験を通し、そこで学んだ経営ノウハウを顧客に提供することで、課題の解決や人材の育成を支援してきた。そのことに私は共感を覚えます」。MTFで提供されるのは、SMFLが自ら実践し学んできたノウハウ。そのことが、より実践的なプログラムたらしめていると、髙橋氏は感じたと言う。

2020年11月から始まったMTFのセッションは、まず課長クラスの社員が受講した。もともと、年齢の長幼に関係なく実力を備えた社員が多かったホンダロックではあったが、髙橋氏は社長として見ても、MTF導入後に社内の雰囲気が変わったと実感しているという。若手社員がチームリーダーの職制に登用されたり、職場ごとに意見交換会が頻繁に行われるようになったりと、すでに変化が表れ始めているそうだ。

「当社の社員には、ホンダグループ内部の各社についてはよく知っていても、グループ外の他社のことはあまり分からないという傾向が見られます。“ 井の中の蛙 ” にならないよう、外の世界のこともぜひいろいろと教えてほしい」。髙橋氏はそう期待を語る。

SMFLの福本は、「MTFを通じた人材育成にとどまらず、さらにさまざまな面で、ホンダロックさんの成長をSMFLとしてお手伝いしていきたいと考えています」と意欲をにじませる。

より挑戦的に・行動的に、より創造的に・独創的に、より信念をもって貫く──そんな「2030年ビジョン」の達成に向け、ホンダロックがSMFLに寄せる期待は大きい。

(内容、肩書は2022年7月時点)

お問い合わせ

MTF推進部 
TEL:03-6695-6139

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