言葉遣いのプロに聞く 誤解されないためのメールの言い回し

できるだけ誤解が生じないようにやり取りするには、どうすればよいのでしょうか。言葉遣いのプロであるフリーアナウンサーの五十嵐由美子さんに聞きました。

「メールの難点は、無機質なコミュニケーションになりがちなため、温度感が正しく伝わらないこと。そのため、できるだけ温かみのある言い回しを意識しましょう。たとえば『先日も夜遅かったようですが、お休みは取れていますか』、メールがすぐ返ってきた場合に『早速ご対応いただきうれしいです』など、相手にねぎらいの言葉を伝えることが大切です」(五十嵐さん 以下同)

ビジネスシーンでは、どうしても断らなければならない時があります。そんな場合もちょっとした工夫で、ネガティブな雰囲気をやわらげることができると言います。

「なるべく否定形を使わないこと。『できません』という言葉遣いは、ドライに拒絶しているように感じます。この場合、『いたしかねます』と言い換えましょう。それと共に『○○であれば、可能です』とプラスの提案も合わせることができれば、さらに良いと思います」

メールでありがちなのは、お互いの認識の食い違い。たとえば、「今週中までにお届けします」という表現はあいまいだと、五十嵐さんは指摘します。

「業種や職種によって『今週中』が金曜の17時までを指すのか、それとも日曜の24時なのかは異なります。認識のズレを防ぐためには、具体的な日時を指定しましょう。『できるだけたくさん欲しいです』といった表現にも『10個以上』と数字に落とし込むことが大事です」

メールが返信されない場合、相手が多忙であることなども考えられますが、どうリアクションを取ればよいのかわかりづらいメールを送っていないでしょうか。常に相手の立場を考えた内容で送ることを考えましょう。

「自分がきちんと伝えたつもりでも、相手から見たら『Yes・Noで答えればいいのか』『メールを確認すればOK』なのかがわからず、返信しづらい場合があります。たとえば『6月24日までにご返信いただけますでしょうか』、もしくは『ご査収ください』など、どのように対応してほしいかをきちんと伝えましょう。その上で返信がなければ、『先日メールをお送りしたのですが、ご覧いただいていますか』と問いかければ、スムーズにやり取りできるでしょう」

ビジネスの現場ではさまざまな業種や職種の方がいて、言葉の受け止め方も人それぞれ。メールで連絡する際は100人に聞いても、その全員が同じように読み取れることを目指して送る内容を考えましょう。

(杉山大祐/ノオト)

取材協力

五十嵐由美子さん
元富山テレビ放送アナウンサー。その後、フリーになりフジテレビなどでレポーターやナレーターなどの経験を積む。また、日本サービスマナー協会の認定マナー講師として、「ビジネスマナー講座」「企業研修」なども行う。

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