“物流不動産”の開発・管理・運用を手掛けるシーアールイーがSMFLグループに参画
―新たなシナジーで企業価値向上と社会課題の解決を目指す

★★仮テキスト★★

2025年3月、物流不動産(倉庫)の開発・管理・運用を手掛ける株式会社シーアールイー(以下、CRE)が、三井住友ファイナンス&リース(以下、SMFL)グループに加わった。CREは事業ビジョンに「日本、アジア、そして、世界の物流不動産リーディングカンパニー」を掲げ、物流不動産に特化した事業を展開。加えて、グループ会社などと連携することでその周辺領域となる倉庫の自動化、システムを通じた業務のDX化、人材の採用・定着、さらには、配送インフラや再生可能エネルギーまでも同時に提供し、物流不動産の利便性・付加価値向上にも取り組んでいる企業だ。一方、SMFLグループは中核事業の一つである不動産事業のさらなる強化を図っている。CREのグループ入りは、互いの戦略を補強し合い、ビジョン実現への歩みを加速させるための布石だ。今回のグループ入りについて、CRE 代表取締役社長 COO・亀山忠秀と、SMFL 常務執行役員・菅井洋生の2人から、両社の共創が生み出すシナジー、組織と人の変化、今後の展望を探る。

物流市場の環境変化と、成長戦略の新局面──CREは新たな伴走者を求めた

日本の物流業を取り巻く経営環境は、今、大きな転換のさなかにある。消費者の購買行動に「eコマース」(以下、EC)という選択肢が浸透したことや、サステナビリティ・環境対応が物流のインフラおよびサプライチェーンにも求められるようになったことなどが、分かりやすい例だ。

そんななか、SMFLは2025年3月、戦略子会社のSMFLみらいパートナーズを通じてCREの株式をTOB(株式公開買い付け)で取得し、同社をグループに迎え入れた。

CREは、物流不動産に特化した事業を展開し、上場も果たした数少ない会社だ(2015年に東証第2部上場、翌2016年には東証第1部銘柄に指定)。「物流不動産」とは、倉庫・物流センター・配送拠点など物流に関わる不動産全般を指す。近年の物流業の活性化により物流不動産への注目が集まるなか、CREは同業界で指折りの大手企業だ。

CREの源流は1964年にさかのぼ※1。不動産を所有するオーナーから中小型倉庫や土地などを一括で借り上げ、当該不動産を利用するテナントへ転貸する「マスターリース」から始まった。CREのマスターリースは、首都圏の神奈川県・千葉県、および東京・多摩エリアでマスターリース事業を展開していた会社3社の吸収合併や事業譲受により現在の形となっており、これがCREにおける不動産管理事業の基盤となっている。同じく同社の不動産管理事業である、大型物流施設の運営・管理を行う「プロパティマネジメント」との管理物件数の合計は約1,600件、管理面積は約700万㎡に及ぶ(2025年7月末時点)。

  • ※11964年の株式会社天幸総建(2011年にCREにより吸収合併)創業より起算
株式会社シーアールイー
代表取締役社長 COO
亀山 忠秀

CREの亀山忠秀は「この管理物件数は、圧倒的な業界トップであると自負しており、続く2位に対してほぼトリプルスコアぐらいの差がある規模です」と語り、さらにこう付け加える。「約1,300物件を数える小規模倉庫(300坪~)のマスターリースを通じ、多様なオーナーさま・テナントさまとの接点を有していることで、そこから汲み取った顧客ニーズを物流施設の開発にフィードバックできることも、当社の特長の一つです。私たちは物流不動産の管理からスタートした会社なので、オーナーさまとともに堅実な収益基盤を確立し、そこを伸ばしながら、持続的に共存共栄しようと考えるカルチャーがあります。顧客やパートナーとの長期的な関係こそが当社の宝であり、強みでもあります」(亀山)

また、CREは2025年1月に大阪倉庫株式会社(大阪府大阪市)の子会社化に関する株式譲渡契約の締結を発表。前述のとおり、同社のマスターリースの基盤は関東エリアが中心だったが、関西エリアにおける事業基盤も獲得することとなった。

2000年代に入ると3PL※2の台頭で大型物流施設の需要が急増。CREは不動産管理事業で培った、不動産所有者や荷主企業・物流企業とのつながりを武器に、大型物流施設の開発に乗り出した。さらに、アセットマネジメント領域へも本格進出し、「開発・管理・運用」を3本柱とする収益構造を確立している。
今後のさらなる飛躍を見据えたそのとき、「財務基盤の強化」という避けては通れない課題に直面した。

近年では、いわゆる「物流の2024年問題」と呼ばれる物流ドライバーの時間外労働が社会問題となり、規制強化に伴う輸送力不足が懸案化。加えて、サステナビリティを求める社会の気運も高まっている。これに対しCREは、“ 保管場所 ” としての物流不動産の提供にとどまらず、グループ会社やアライアンス先を通じ、その周辺領域となる倉庫の自動化、システムを通じた業務のDX化、人材の採用・定着、さらには配送インフラや再生可能エネルギーなど、物流業界の抱えるさまざまな課題に対してソリューションを提供し、物流不動産の利便性・付加価値向上にも取り組んでいる。そのCREが、今後を長い目線で見据えたとき、事業成長のスピードとそれに対する財務基盤の強化──この2つのテーマの両立に向け、強力なパートナーを求めることになった。

  • ※23PL:サードパーティ・ロジスティクスの略。荷主に対して物流改革を提案し、包括して物流業務を受託し遂行すること

株式会社シーアールイーの概要

社名 株式会社シーアールイー
設立 2009年12月22日
本社所在地 〒105-0001 東京都港区虎ノ門2-10-1 虎ノ門ツインビルディング 東棟19階
連結従業員数 372名(2025年7月末時点)
事業内容 物流施設の賃貸、管理、開発、仲介、及び投資助言

物件写真左:ロジスクエア京田辺A(京都府京田辺市)
2025年2月竣工 / 延べ面積約16万㎡

物件写真右:ロジスクエア名古屋みなと(愛知県名古屋市)
2025年12月竣工 / 延べ面積約5万㎡

コアビジネスの領域拡充へ──SMFLは自社の “ 強み ” を伸ばす協業パートナーを探った

一方、SMFLも、新たな仲間を求めていた。2018年に戦略子会社のSMFLみらいパートナーズを設立し、新たなコアビジネスとして不動産関連の事業領域の拡大を進めてきた。不動産の管理・運営に関するコンサルティングを提供する「マックスリアルティー」、アセットマネジメント事業大手の「ケネディクス」、海外では「Aravest」を連結子会社化し、成長を加速してきた。

SMFL 常務執行役員
事業統括部・アジア戦略企画部担当
SMFLみらいパートナーズ
取締役専務執行役員 事業統括部担当
菅井 洋生

SMFLの常務執行役員で事業統括部・アジア戦略企画部を担当する菅井洋生はこう語る。「私たちは、不動産関連事業の翼を、“ 物流不動産 ” の領域にも伸ばそうと考えていました。そのため、物流不動産の分野で協業できる新たなパートナーを求めていたのです」(菅井)

思惑と戦略が一致したCREとSMFL。両社には、その後の展開の “ 下地 ” となるつながりもあった。「すでに不動産関連の取引があり、両社は互いの考え方や事業の進め方を理解し合っていた」と亀山は指摘し、菅井も「現場レベルでの信頼関係がすでにあった」と振り返る。さらに、CRE会長の山下修平とSMFL経営陣の間にも、長年の交流で親密な関係が築かれていた。

2024年7月、MBO(経営陣による買収)による株式非公開化の提案がCRE会長の山下氏から示され、「ご提案を受けてすぐ具体的な協議に入りました」(菅井)、「両社のケミストリーが合うと確信して進めました」(亀山)と始動。11月上旬から始まった本格協議でさまざまな提携案が検討された結果、両社の企業価値を最も高める選択として、TOBによるCREのSMFLグループ参画が最適と判断された。

TOB期間中、両社はガバナンス体制についても協議。CREの現行経営陣を尊重する方針をSMFLは貫いた。菅井がこう強調する。「経営トップが代わるとなれば、提携先の企業価値が損なわれる可能性があります。パートナー企業との統合に関する当社の基本方針は、現行の経営陣と成長の戦略を共有した上で、日常のマネジメントを委ね、必要な支援を行うことで、ともに提携先企業の企業価値を高めていく。それによりグループ全体の成長を目指そうという考え方です」(菅井)

SMFLグループの不動産事業の変遷

早くも見られたシナジー。環境貢献の加速も視野に

SMFLグループ入りから約1年、シナジーはすでに表れ始めている。なかでもCREにとって大きいのは財務面での変化だ。グループ入りによって株式会社日本格付研究所(JCR)から「AA-」という高い格付けを取得し、資金調達力は飛躍的に向上した。2025年7月には、京都の大型倉庫案件でSMFLみらいパートナーズのブリッジファイナンス※3を活用。SMFLグループの資金力を背景に、最適なタイミングを逃さず即時即応できるスピードを、CREは手に入れた。

亀山は、信用力が強化された点も強調する。「当社のマスターリースにおけるオーナーさまにとって、これまでCREが『上場企業』であることが一定の安心感を生んでいました。上場廃止でその看板がなくなったものの、『三井住友フィナンシャルグループ(SMFG)に属するSMFLグループの一員になった』とお伝えすると、その価値を即座に理解していただけます。以前にも増して高い信頼をお寄せくださり、取引の幅も広がっていると感じます」(亀山)

顧客層の拡大に関しても可能性が広がる。亀山は「グループ入り後にあらためて実感したのは、SMFLグループが全国に有している30万社超という膨大な顧客基盤の厚さ・堅固さでした」と語る。「 “ リース ” を軸とする金融・ファイナンス事業を通し、SMFLグループが全国で築いてきた強固な顧客基盤。これが当社とのシナジーを生みます。物流や倉庫のニーズは業種を問いません。全国規模の顧客ネットワークは、関東エリアを拠点としてきたCREが今後全国の地方都市へ進出する際に、確かな足がかりになります」(亀山)

今回の動きはSMFLグループにとっても、不動産事業がコアビジネスとなり成長を加速する新たな契機となった。菅井はこう述べる。「SMFLの営業部店からは、CREのグループ入りを受けて早速、『遊休不動産を保有するお客さまから物流や倉庫について問い合わせがあった』『物流に関し、CREに相談に乗ってほしい』などの反応が出始めています。また、SMFLからの情報を基に、上場REIT・私募ファンド向け物流施設をCREとSMFLみらいパートナーズが共同開発するなど、グループ全体で資産回転型ビジネスの推進を目指していきたいと考えています。その際にはCREの物流施設ブランド『LogiSquare』(ロジスクエア)とSMFLみらいパートナーズの不動産ブランド『NEWNO』(ニューノ)※4を合わせて『LogiSquare/NEWNO』とするのもいいですね」(菅井)

また、物流業界では今、クリーンエネルギーを重視する傾向が強くなっている。特に大手企業では物件の「環境性能」が、物流施設への入居の是非を左右する重要な基準になっている。そんなサステナビリティへのニーズにも、「環境配慮型ビジネス」というかたちで両社が協業することで、応えられる可能性がある。

一例として、CREのグループ会社であるエンバイオ・ホールディングスは、倉庫の広い屋根を活用した太陽光発電事業を展開してきた。だが、亀山は「同社単独では資金力や顧客層に限界があり、この発電事業を十分に伸ばし切れていなかった」と話す。「CREグループだけでは、お客さますべての再エネ需要に応えるのは難しい。対してSMFLグループでは、再生可能エネルギー発電事業に加えコーポレートPPA(電力購入契約)事業にも取り組んでおり、発電規模は1,000メガワットを超えます。両社が連携すれば、SMFLグループが生み出す電力をCREが開発する物流施設のテナント企業に供給する仕組みも構築できるでしょう」(亀山)

SMFLは、エンバイオ・ホールディングスの土壌浄化技術に注目する。「エンバイオ・ホールディングスの持つ、工場跡地などの土壌汚染を浄化する技術は、物流施設に限らずオフィスや住宅にも転用できる。環境改善と土地の有効活用を同時に実現でき、社会的価値の高い事業になります。SMFLグループの顧客ネットワークを通じ、そんな案件の発掘・開発が加速することが期待されます」(菅井)

  • ※3本格的な資金調達が実現されるまでの「つなぎ資金」を融資すること
  • ※4「NEWNO」のブランド名には「環境配慮」と「共創」という2つの想いが込められている。SMFLみらいパートナーズでは、不動産事業において、環境認証(CASBEE Aランク以上ないしDBJ Green Building ★3以上)を取得する物件や、ブランドコンセプトに賛同するビジネスパートナーとの共同事業・物件に付与することとしている

カルチャーの交差が生む “ 化学反応 ” の期待と、協業が可能にする “ 社会的使命 ” への展望

別々の企業が歩んできた2本の道が合流するとき、そこには “ 異なる企業カルチャーの出会い ” も生まれる。SMFLグループに加わったCREには、コンプライアンスやリスク管理に関し、新たにSMFL基準の厳格なルールが導入された。この変化を亀山はこう見つめる。「新たなルールの適用はCREにとって、より大胆な挑戦を可能にするものになります。いわば “ 全速力で走るためのガードレールが備わった ” と私は考えています」(亀山)。亀山の期待感が現実になれば、それはカルチャーとカルチャーが交わって起きる “ 化学反応 ” といえるのかもしれない。

一方、SMFLから見て、CREのスピード感、CRE社員一人ひとりのプロジェクトを推し進めるプロアクティブな姿勢は、大きな刺激になると菅井は話す。「意思決定の速さ、そして挑戦を厭わないCRE社員のマインドに感銘を受けています」(菅井)
両社間の社員交流も活発になりつつあり、「育成目的での相互出向をさらに増やしていきたい」と菅井は意欲をにじませる。

両社の今後の展望にも、新たな共創の光が差している。CREが掲げる新たな事業ビジョン「日本、アジア、そして、世界の物流不動産リーディングカンパニー」について、SMFLグループのネットワークと資金力が、その実現を後押しすることになるのだ。SMFLグループにとっても、CREが長年蓄積してきた物流不動産のノウハウは、海外事業を拡大する強い武器となる。

亀山は、創業の礎でもある「小型倉庫」の開発力強化にも、今後はさらに力を注ぐ考えだ。小型倉庫の市場では目下、供給不足が続く。開発効率が高く、建築費が上昇しても帳尻を合わせやすい大型倉庫に比べ、小型倉庫の分野は規模の経済効果が働きにくく、高騰する現在の建築コストでは採算が取れにくいからだ。だが、物流業界の大半を占める中小規模の事業者にとって、小型倉庫はまさに生命線。「それを支えなければならない」との思いが、亀山率いるCREにはある。

亀山はこう力説する。「物流は、私たちの生活・経済活動を支える重要なインフラです。EC市場の拡大、グローバル化の進展、環境配慮の高まり──今、物流業界を取り巻く環境は急変しています。この変化に対応し、持続可能な物流システムを構築することは、私たちの “ 社会的な使命 ” でもあるのです」(亀山)

菅井は、「SMFLグループとしても『金融×物流』という新しい領域で、CREとともに社会に貢献していきたいと思います」と応えた。

CREとSMFLグループの連携は、「社会的使命」を果たすための選択でもあった。両社の強みが掛け合わされて、単独ではなし得なかった成長が実現し、その成果が社会に還元される──両社が挑む物流不動産の新たなステージに注目したい。

(内容、肩書は2026年3月時点)

お問い合わせ

SMFLみらいパートナーズ株式会社 事業統括部 
TEL:03-6695-8210

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