子どもたちの学びと成長。未来を拓くワークショップ
ファミリーマート×キッズドア×SMFLの連携で、リアルな「仕事体験」を提供
今や欠かせない生活インフラとなったコンビニエンスストア。日々の買い物から諸手続きまで、地域社会の暮らしを支える拠点でもある。最大手の一角、ファミリーマートは、数々のサステナビリティ活動にも力を入れている。そんな活動に寄り添うパートナーが、「SDGs経営で未来に選ばれる企業」をOur Visionに掲げる三井住友ファイナンス&リース(以下、SMFL)だ。
2025年7月、両社の協力で次世代支援を目的としたとあるワークショップが開催された。舞台になったのは、認定NPO法人キッズドア(以下、キッズドア)が運営する学習支援拠点の一つ。取り組みの始終を紹介する。
「子ども支援」「貧困からの脱出」「未来に選ばれる企業」──3つの理念がコラボレート
「あなたと コンビに ファミリーマート」のコーポレートメッセージでおなじみ、コンビニチェーン大手・ファミリーマート。店内、スイーツやスナック菓子のコーナーを中心に並ぶ “ 手作り感 ” のある商品POPが、消費者の目を引き購買を促している。そんなPOPのなかに、2025年秋ひときわ親近感のあるものが加わり、一部店舗で話題になった。子どもたち向けのワークショップから生まれたそれらのPOPを創作したのは、キッズドアの学習支援拠点に通う中学生・高校生たちだった。
サステナビリティ推進部
CSR・ダイバーシティ推進グループ
マネジャー
前田 結実子 氏
「子どもたちの未来をさまざまなかたちで応援することは、当社が力を入れている活動の一つです」と話すのは、ファミリーマート マーケティング本部 サステナビリティ推進部 CSR・ダイバーシティ推進グループの前田結実子マネジャーだ。
「とりわけ、《地域社会と力を合わせて子どもの成長をサポートする》という視点は、とても大切にしています。例えば『ファミマこども食堂』で地域の子どもたちやそのご家族に交流の場をご提供する、『ファミマフードドライブ』により地域社会の中で食支援と食品ロス削減につなげるといった取り組みも、この考え方を具体化したものです」(前田氏)
そう語る前田氏ら「サステナビリティ推進部」と頻繁にコミュニケーションを取ってきたのが、SMFLだった。両社は、SMFLが提供するSDGsリース『みらい2030(ミライニーマルサンマル)®』※1の取引から生まれた縁をきっかけに、「サステナビリティ活動を推進するための協働企画」に関して対話を重ね始めていたのだ。
梶川 胡桃
SMFL 東京営業第四部 副主任の梶川胡桃は、「“ 協働企画 ” のパートナーを一緒に探るなかで、《子どもたちの未来》《地域社会》というファミリーマートさんの重点コンセプトからフォーカスされたのが、キッズドアさんでした」と語る。キッズドア主催のキャンプイベントをSMFLが支援するなど、かねてよりSMFLとキッズドアには緊密な協力関係があった。
ファミリーマート、キッズドア、さらに双方を取り持つSMFLの「3者協働」が動き始めた当時(2024年8月)を、梶川はこう振り返る。
「キッズドアさんは、経済的に困難を抱えた家庭の子ども支援で実績のある認定NPO法人。子どもたちが “ 学習できる環境 ” づくりを通して、『貧困の連鎖からの脱出』をご支援されています。SDGsリース『みらい2030®』(寄付型)※2の寄付先であることに加え、『ファミマフードドライブ』の食品受け入れ先としてファミリーマートさんにキッズドアさんをすでにご紹介していたので、連携パートナーとして間違いないという確信がありました。どんなコラボレーションなら3者それぞれの持ち味を生かすことができるか、早速検討に入ったのです」(梶川)
キッズドアへのヒアリングで、一つの要望が梶川に提示された。
キッズドアが運営する「居場所型学習会」に通っている子どもたちの多くは、深刻な “ 体験格差 ” に直面しており、「チーム作業」の経験にも乏しい。そのような背景を持つ子どもたちに、「将来の自分の仕事について考えるきっかけ」と「チームで作業する経験」を提供してもらいたい──というリクエストだ。
キッズドアからの切実な要請に応えることができる格好のソリューションが、SMFLにはあった。
取引先企業向けに用意されたワークショップ型の経営支援プログラム「More Than Finance®」(以下、MTF)である。
- ※1 2019年に株式会社日本総合研究所と共同で取り扱いを開始した、SDGs達成に貢献できるソリューション
- ※2 リース料総額の一部をSMFLがSDGs達成に資する公益財団法人または認定NPO法人などに寄付するソリューション
「店舗運営のノウハウ」と「MTFの方法論」──その “ 掛け算 ” が実現した「生きた学び」
中村 寛祐
「MTFを子ども向けに応用できないか」──そんな相談を梶川から持ちかけられたのが、SMFL MTF推進部 部長代理の中村寛祐だった。
MTFは、SMFLが自社の事業を通して培ってきた知見やノウハウを、セッション形式で顧客に提供するワークショップ型プログラムだ。本来の目的は、顧客企業の成長や経営課題の解決を支援すること。MTFの提供対象が「子ども」だったことも、「他社(今回はファミリーマート)との合同主催」の実施形式をとったケースも、初めてだった。中村は「これはチャレンジだ」と気を引き締め、梶川の依頼を快諾した。
2024年12月、中村と梶川は東京都内にあるキッズドアの学習支援拠点を視察。子どもたちの様子に触れながらキッズドアでの取り組みを知り、ワークショップのテーマを「将来を考えるきっかけづくり」に決定した。その後、ファミリーマートとも協議を重ね、「POPづくり」のワークを中心としたワークショップの実現に向け検討を開始した。
ワークショップでのPOPの製作指導はファミリーマート側に一任することとした一方、中村らは子どもたちの特徴や興味関心について入念にキッズドアにヒアリングを行い、プログラムの構成を練った。通常のMTFよりも長い時間をかけて準備を整え、2025年7月22日、ワークショップ当日を迎えた。
参加者は、高校生2人と中学生10人の計12人。4チームを編成して、各チームがファミリーマートの人気商品を1種類ずつ試食し、POPのキーメッセージのアイデアを出し合った。特に重要なメッセージを選び、それに基づくPOPの試案を各自が製作、チーム内でプレゼンし合うという3時間弱のプログラムだ。
中村はこう話す。
「SMFLの社員が実践している “ リアルなノウハウ ” を提供できることがMTFの特徴。このワークショップでも、実社会のビジネスシーンで何が行われているのかを伝えることを重視しました」(中村)
セッションでは前田氏らがプロジェクターを使って「POP作りのコツ」をレクチャー。店舗で実際に製作された “ 本物 ” のPOPを見せた上で、POPの役割や製作上の注意点を手ほどきするという “ 現場感 ” のある内容だった。
また中村は試食を行う際に、ただ試食をするのではなく、「食レポ」というワーク形式を採用することで、ただの “ おいしい ” で終わらない顧客目線のキーメッセージを自然と引き出す工夫を行った。実際に子どもたちからは「香りが先に立つ感じ」「映画を観ながら食べるとよさそう」など、率直なコメントが多く見られた。
キーメッセージのアイデア出しとグルーピングは、チーム作業で行った。POPのプレゼンもチーム作業。中村は、「実際の会社でも、仕事はチームでしているんだよ」とたびたび声をかけてコミュニケーションを促し、「みんなのPOPがお店に並ぶかどうかは、気持ちがこもったプレゼンにかかっているよ!」と、適度なプレッシャーも意図的に加えて励ました。ビジネスパーソンがどんな思いで日々の業務に向き合っているのか、感じ取ってもらうためだ。
このワークショップのゴールは、出来上がったPOPがファミリーマートの実店舗で掲示されること。前田氏は、「自分が “ 手を動かした ” 結果が社会にどう反映されるのか、その一連の流れを実体験して初めて、このワークショップが “ 生きた経験 ” になる」との思いから、完成したPOPを1カ月の間掲示してくれる店舗を3つ、東京都内に確保していた。
実際の会社の会議を模した進行に加え、“ 本物のPOP ” が営業現場でどう位置付けられどう扱われるのかに触れたこと、そして「自分の成果がファミマのお店で役に立つ!」というやりがいを与えられたことで、今回のMTFはまさに “ 生きた学び ” になった。
広がる反響──顧客と共創する社会貢献活動の「新たなかたち」を社内外に提示
“ 学び ” の直接的な効果のほかに、参加した中学生・高校生からはこんな感想も聞かれた。
「いろんな人とコミュニケーションが取れて楽しかった」「新しい友だちができた」──普段、孤独を感じながら過ごすこともある困窮家庭の子どもたちが吐露したそんな声に関しても、キッズドアからワークショップを主催した2社に感謝の意が伝えられた。
主催した側にとっても “ 成果 ” は大きかったようだ。
ファミリーマートの前田氏はこう述べる。
「既成概念にとらわれないアイデアの大切さを再認識しました。ユニークな発想のPOPがお店に並ぶのは、売り手としてもうれしい光景。掲示した店舗の店長からも、“ 自由さがいい ” “ 温かみがある ” “ 素敵ですね!” と好評でした」(前田氏)
SMFLの梶川にも発見があったという。
「高校生が年下のメンバーに “ どう思う? ” と声をかけ、意見を引き出す姿が見られました。役割分担が自然発生的に成立し、チームが形成されていく過程を目の当たりにしたことは、自分たちがチームで仕事をする上での参考にもなります」(梶川)
同じくSMFLの中村は、新たな手応えを得たと話す。
「“ チャレンジ ” のつもりで取り組んだ結果、MTFの “ 幅 ” が広がりました。いわば三者三様の “ Win-Win-Win ”。こうしたコラボレーションの機会が今後もあれば、ぜひまた挑戦したいです」(中村)
SMFLでは「社内からの反響も大きかった」と梶川が明かす。
「《SMFLとファミリーマートのノウハウをかけ合わせた協働企画が、両社のサステナ活動を加速させた好事例》としてイントラネットで紹介されました。すぐに、“ どんな経緯で実現したのか?” との問い合わせが、国内の営業部店や統括部などから10件ほど届きました。他企業さんとのコラボ案件としての関心や地域社会を巻き込んだサステナ活動への興味などを喚起したようです。社内で “ 横展開 ” の動きが生まれつつあると感じています」(梶川)
一方、前田氏は「協働」の効果を強調する。
「チームワークに関するプログラム構成をSMFLさんにお任せできたことで、我々ファミリーマートは拠点機能やPOP作りの考え方といった “ 現場のリアル ” を伝えることに集中できました。互いの強みを生かし合い、そこから新しい価値を生み出せたのは、とてもよかった点だと感じています」(前田氏)
また、SMFLと同様、社内での反応にも意を強くしたという。
「当社の主管部門も、“ 業界の垣根を超えた連携 ” と捉え、感心と注目を示しています。SMFLさんとは今後もいろいろなかたちの連携を探っていきたいです」(前田氏)
ファミリーマートとSMFLのコラボレーションが、次にどんな社会価値を生み出すか、目が離せない。
POP作りは成果が社会に出る貴重な体験。
子どもたちを取り巻く課題解決に向けて、今後も継続的に連携したい
認定NPO法人キッズドア 理事長
渡辺 由美子 氏
──キッズドアの活動内容を紹介してください。
2009年の設立以来、日本の子どもの貧困課題の解決に取り組んでいます。困窮家庭の小学生~高校生世代を対象に、無料学習会や勉強とともに食事などの生活支援も行う “ 居場所型学習会 ” を、東京とその近郊、宮城および神戸で展開しています。2020年からは「ファミリーサポート」というシステムを作り、ご登録いただいた全国の困窮子育て家庭を対象に、情報支援や食料・文房具支援、保護者への就労支援も行っています。
──SMFLが2019年12月に取り扱いを始めたSDGsリース『みらい2030®』(寄付型)を含め、SMFLとはどんな取り組みで連携なさっていますか。
SDGsリース『みらい2030®』(寄付型)を通じて、進学を目指す高校生世代への学習支援にご協力いただいています。また社員の皆さまからのご寄付に基づく「みらい絆」基金では、ファミリーサポート事業にご助力いただいています。さらにはお取引先の企業さまなどを巻き込み、さまざまなかたちで子どもたちの可能性を広げるご支援も頂戴しています。海外ワークショップや自然体験キャンプ、またSMFLレンタルさまからのノートPCのご寄贈などを通し、「体験機会を創出する支援」で連携させていただいています。
──今回の協同企画「商品のPOPづくり」ワークショップの提案を受けたときの印象を教えてください。
みんなが知っていて身近なファミリーマートさまの店舗に自分の作ったPOPが設置されるということで、子どもたちもさぞ喜ぶだろうと思いました。「参加する機会」を提供してくださる体験活動はほかにも例があるのですが、今回のようなかたちで子どもたち自身の “ 成果 ” が社会に出て、実際に何かの役に立つという機会は大変貴重です。私たちキッズドアのスタッフとしても、とてもありがたく感じました。
──本ワークショップで特に印象に残ったことはありましたか。
今回の活動会場になった学習会拠点には、グループワークが得意ではない子も多く通っており、このようなイベントはあまり行ってきませんでした。今回のイベントは、チーム作業が不得意な子でもサポートがあればここまでできるのだ、という新たな可能性を知るきっかけになりました。POPの製作を通して、今まで私たちが知らなかったそれぞれの関心事・得意な作業などの発見もありました。子どもたちの可能性が広がっていくことを、子どもたち自身のみならず、私たちスタッフも実感できたイベントでした。
──ファミリーマート、SMFLへのメッセージをお願いいたします。
このたびは魅力的な体験機会を提供してくださり、誠にありがとうございます。
はじめは、ほかの体験と比べて長時間のプログラムだったことや、ワークショップの難易度など、やや心配な点もありました。それでも、丁寧な事前のご準備から、子どもたちに対するその場でのお気遣いまで、きめ細やかに対応してくださったおかげで、全員が集中力を切らすことなく、最後まで楽しく参加することができました。
こうした取り組みを通し、私たちの支援の “ 現実 ” を知ってくださる方々が増えていくことは、子どもたちを取り巻く課題解決のためにとても重要なことです。今後のご支援に関しても、ぜひ継続的に連携させていただければ幸いです。今後ともどうぞよろしくお願いいたします。
(内容、肩書は2026年3月時点)
お問い合わせ
広報IR部
TEL:03-5219-6334











