サーキュラーエコノミーへ向けた取り組みで新たなビジネスモデルを構築するヒント
本記事ではサーキュラーエコノミーに焦点を当て、新たなビジネスモデルを構築するヒントを解説します。また、循環型のビジネスへのシフトを成功に導く解決策も提示します。長年にわたり環境や社会、経済の面で持続可能なライフサイクルシステムの実現を目指す研究をしている、早稲田大学の福重教授に取材しました。
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2026年4月に改正資源有効利用促進法が施行されます。特定の製品について再生資源の利用が義務付けられ、計画の提出や定期報告が求められるなど、取り扱う製品によっては大きな影響が生じる可能性があります。
本記事では、資源有効利用促進法の改正について、4つのポイントを分かりやすく解説します。
本記事について
本記事は、サーキュラーエコノミーを推進する三井住友ファイナンス&リース株式会社が社内啓蒙用に発行している「Circular Economy Newsletter」を再編集し、サーキュラーエコノミー普及の取り組みの一環として制作したものです。
資源有効利用促進法は、大量生産・大量消費・大量廃棄型から循環型の社会への移行に不可欠な3R(リデュース・リユース・リサイクル)の推進を目的に、2001年に施行された法律です。
資源有効利用促進法は、「製品対策」と「副産物対策※1」の2つの観点で3Rを推進し、製品の設計から製造、使用、廃棄の全ての段階で資源の有効利用と廃棄物削減を両立させる仕組みになっています。
※1 副産物とは、事業活動に伴い副次的に発生する産業廃棄物のこと
3R
出典・参照元:経済産業省「資源有効利用促進法」に基づきSMFLにて作成
資源有効利用促進法が制定された背景には、廃棄物量の増加に伴う最終処分場の逼迫と、鉱物資源の確保に関する課題がありました。
日本の鉱物資源はほぼ100%を海外からの輸入に頼っており、コスト高や資源確保の不安定化が続くなど、その枯渇リスクは大きな課題です。
2023年度のごみ総排出量は約3,897万トンと、施行当初である2001年の5,210万トンから25%減少しました。一方、リサイクル率は2001年の15%から19.5%にとどまっており、依然として改善の余地が大きいことがわかります※2※3。
こうした状況を打開するため、資源有効利用促進法の改正が進められています。資源循環を新たな産業競争力につなげ、脱炭素・環境配慮と経済成長の両立を目指す政策が強化されています。
出典・参照元:
※2 環境省「一般廃棄物の排出及び処理状況等(令和5年度)について」
※3 環境省「一般廃棄物の排出及び処理状況等(平成13年度実績)について」
資源有効利用促進法は、幅広い業界に適用されています。具体的には、10の主要な業種に関連する69品目が対象です。
| 業種/製品 | 対象 | |
|---|---|---|
| 10業種 | 特定資源業種(副産物の発生抑制が求められる) |
|
| 特定再利用業種(再生資源や再生部品の利用が求められる) |
|
|
| 69品目 | 指定省資源化製品 | 自動車、家電製品、パソコン、ぱちんこ遊技機、金属製家具、ガス・石油機器 |
| 指定再利用促進製品 | 自動車、家電製品、パソコン、ぱちんこ遊技機、複写機、金属製家具、ガス・石油機器、浴室ユニット・システムキッチン、小型二次電池使用機器 | |
| 指定表示製品 | スチール製・アルミニウム製の缶、ペットボトル、塩化ビニル製建設資材、紙製容器包装、プラスチック製容器包装、小型二次電池 | |
| 指定再資源化製品 | パソコン、小型二次電池 | |
| 指定副産物 | 電気業の石炭灰、建設業の土砂、コンクリートの塊、アスファルト・コンクリートの塊、木材 | |
出典・参照元:環境省「資料4 資源の有効な利用の促進に関する法律(資源有効利用促進法)の概要」
対象となる品目は多岐にわたり、家電や自動車、電池、印刷・出版物などが含まれます。事業者は、製造や販売、回収といった各プロセスで、3Rに取り組むことが求められます。
出典・参照元:環境省「平成23年度版 環境白書 第3節 循環型社会の形成に向けた法制度の施行状況」に基づきSMFLにて作成
循環型社会の実現に関連する法律は、資源有効利用促進法以外にもあります。
特に、廃棄物の適正処理や製品の回収・リサイクルなど、事業者に具体的な対策を求める法律としては、下記が挙げられます。
| 法律 | 説明 |
|---|---|
| 廃棄物処理法 | 廃棄物の排出抑制や適切な処理(分別、保管、収集、運搬、再生、処分など)を徹底し、公衆衛生の向上を図る |
| プラスチック資源循環促進法(プラ新法) | プラスチック製品の削減、市町村によるリサイクル、事業者による回収・再資源化を促進する |
| 自動車リサイクル法 | 使用済み自動車について、廃棄物の適正処理と資源の有効利用を目的に、リサイクルに携わる関係者に役割を定めた |
| 家電リサイクル法 | エアコンやテレビなど使用済み家電製品について、廃棄物の減量と再生資源の有効利用を図る。家電4品目において回収とリサイクルなどが義務付けられている |
| 建設リサイクル法 | 特定の建設資材の分別解体や再資源化が義務付けられている |
| 食品リサイクル法 | 食品廃棄物の抑制・減量、再利用、処理時の熱回収などを促進する |
| 容器包装リサイクル法 | 容器包装廃棄物の排出抑制や分別収集、リサイクルを促進する |
また、国や自治体、事業者が循環型社会の実現に取り組む際の基本的な枠組みや考え方を示し、理念や方針を定める法律もあります。事業者に直接的な義務を課すものではありませんが、環境政策全体の基盤や指針として重要な役割を果たしています。
| 法律 | 説明 |
|---|---|
| 環境基本法 | 環境政策全体の基本理念を規定している |
| 循環型社会形成推進基本法 | 社会全体の方針を明確にし、循環型社会の形成に向けた施策を計画的に推進するための基本的な枠組み |
| 再資源化事業等高度化法 | 事業者による再資源化の技術や設備の高度化・効率化を支援し、温室効果ガス排出量の削減や環境保全につなげる |
脱炭素や環境配慮を進めつつ、経済成長との両立を図る国の方針の下、資源循環の強化に向け、2026年に「改正 資源有効利用促進法」が施行される予定です。再生資源の利用や環境配慮設計の評価、GX(グリーントランスフォーメーション)※4に必要な原材料の再資源化、循環型ビジネスの促進など、事業活動のあらゆる段階に影響を与える内容になっています。持続可能な社会に向けて、ものづくりの在り方が改めて問われようとしています。
※4 化石燃料をできるだけ使わず、クリーンエネルギーを活用していくための変革やその実現に向けた活動のこと
改正法では、脱炭素の観点から、再生資源の利用を義務付ける製品として「指定脱炭素化再生資源利用促進製品」が新たに指定されました。
指定された製品を一定規模以上生産・販売する事業者は、再生資源の利用に関する計画を作成し、主務大臣への提出および定期的な報告が義務付けられる予定です。その計画には、使用済み製品や副産物の再資源化を計画的に進めるための措置を盛り込む必要があり、進捗状況は国が把握・指導する仕組みになっています。対象となる製品は政令で指定されますが、家電や自動車部品、建材などが候補とされています。
また、国は事業者から提出された報告内容によって、行政指導や助言、必要に応じて改善命令ができます。事業者は、法律で定められた項目について製品設計や資材調達、回収体制などを見直す必要があります。
製品設計の段階から、耐久性や修理のしやすさ、資源効率の向上といった観点を評価する制度も導入される予定です。優れた環境配慮設計を行った事業者は「認定事業者」として認められ、リサイクル設備投資への金融支援など特例措置を受けられる仕組みになっています。
こうした制度は、廃棄物削減や循環利用を組み込んだ製品開発を後押しすると期待されています。さらに、認定事業者として認められることで、税制上のメリットだけでなく、ブランド価値の向上という副次的な効果を得られる可能性もあります。
これに伴いコストや機能だけでなく、リサイクル性や修理のしやすさ、長寿命化など環境配慮の観点を織り込んだ設計が求められるようになります。
改正法では、GXに必要なバッテリーや電子部品などの使用済み製品や副産物について、高い回収・再資源化目標を掲げて取り組む事業者を国が認定する制度が設けられる予定です。
認定を受けた事業者には、廃棄物処理法上の特例として適正処理を前提に、業許可が不要となる措置が適用され、回収・再資源化のインセンティブが与えられます。事業者が自主的に資源循環の高度化を進めやすくなる仕組みです。
CEコマース(サーキュラーエコノミーコマース)とは、製品の利用頻度を増やしたり、製品の寿命を延ばしたりすることでサーキュラーエコノミーに貢献するビジネスのことです。
改正法では、シェアリングやリユースなどのCEコマース事業者の類型が新たに位置付けられ、これらの事業者に対して、資源の有効利用などの観点から基準が設定される予定です。これにより、CEコマースの拡大やサービス品質の向上が期待できます。
出典・参照元:経済産業省「第11回 産業構造審議会 イノベーション・環境分科会 資源循環経済小委員会 資料3」
本記事ではサーキュラーエコノミーに焦点を当て、新たなビジネスモデルを構築するヒントを解説します。また、循環型のビジネスへのシフトを成功に導く解決策も提示します。長年にわたり環境や社会、経済の面で持続可能なライフサイクルシステムの実現を目指す研究をしている、早稲田大学の福重教授に取材しました。
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2026年4月に施行される改正「資源有効利用促進法」により、企業のサーキュラーエコノミーに対する意識が高まり、取り組みへの加速が予想されます。これは単なる規制対応ではなく、環境価値と経済価値を両立させるもので、新たなビジネスチャンスにつながる可能性もあります。
循環型社会への移行というトレンドを踏まえ、ビジネスモデルや製品設計を段階的に見直していくことで持続可能な成長と競争力の確保につながることが期待されます。
(内容は2026年2月時点)
文・編集:株式会社メンバーズ
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